すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


桜谷(さくらだに)(滋賀県大津市)





花ならでさくらだにをば見に行かじ 秋にも飽きぬ道の遠さに 源俊重(散木奇歌集)
春でなければ桜谷まで景色を見に行くまい。あまりの道のりが
あきあきするほどの遠さゆえに(訳:西本忠一)



枕詞は、「田上(たなかみ)にて八月ばかりに徒然なりければ、何となく歩み出でてさくらだにの方へ罷りけるに、道の遠かりければ、休むとて式部の大夫の詠める」とある。

「桜谷」の地名に、「桜だに」の副助詞『だに』を掛けている。「秋」と「飽き」も掛けている。

田上は、瀬田川左岸の地名で、中世平安時代、源経信、源俊頼らの別荘があり、田上荘ともよばれた。

桜谷は、瀬田川の浸食により形成された渓谷である「佐久那(さくな)谷」が転訛したものらしい。

滋賀県大津市大石中町にある佐久奈度(さくなど)神社は、一名佐久良(さくら)大明神という。

佐久奈度神社は元は鹿跳の地にあったが、昭和39年、下流の天ヶ瀬ダムの完成により水没して移転。

鹿跳は、弘法大師が白鹿の背に乗って対岸の光る霊木まで跳んだ伝説の地。瀬田川の景勝地であり、瀬田川の渡河地点であった。




ここが鹿跳渓谷。向こうに鹿跳橋が見える




瀬田川の左岸の高台に佐久奈度神社があった




ダム建設により高台に移転したとのこと




歌碑があった
古来、佐久奈度神社はお祓いの神として有名だったようだ
罪穢をお祓いする内容の歌のようだが、よく分からなかった
作者は「正風」?
だれかテキストもってませんか?




佐久奈度神社から鹿跳渓谷を眺望
川筋の右手の空き地は元の佐久奈度神社があった場所






え〜、いろいろと書いたが、
 要は、鹿跳渓谷ほぼイコール桜谷で、
  桜谷は佐久那(さくな)谷の転訛で、
   そこには古くから佐久奈度(さくなど)神社があった・・・
ということ















佐久奈度神社にあった歌碑の内容が気になります





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