すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


坂本八幡宮(福岡県太宰府市)





令和の新名所、坂本八幡宮。




平成の次の年号の令和は万葉集を典拠とする。

天平二年(730年)、太宰府の大伴旅人の邸宅で開催された梅花の宴。この宴で梅の花を題材に32首の歌が詠まれた。そしてこの歌会の序詞「梅花の歌三十二首 并せて序」から『令和』が選ばれた。


初春月 氣淑風 梅披鏡前之粉 蘭薫珮後之香 梅花歌三十二首并序(万葉集)
「初春月にして 気淑く風ぐ」






梅花の宴が催された大伴旅人の邸宅の場所は、太宰府政庁跡の北西にある坂本八幡宮だとされる。









■坂本八幡宮 ・・・ 福岡県太宰府市坂本3-14-23



訪問したのは2019年8月。
5月1日の改元のフィーバーが一段落した様子だったが、まだまだ参拝客は多かった。



社殿。









すぐ隣に梅らしい木が植えてあった。







さて、坂本八幡宮の境内には万葉歌碑が設置されている。
それはこの歌

わが岡に さ男鹿来鳴く 初萩の 花嬬問ひに 来鳴くさ男鹿 大伴旅人(万葉集)


坂本八幡宮の境内に歌碑


え〜と、初春とか梅ではなく、秋の萩の歌。雄鹿に雌鹿を尋ねさせている。太宰府で妻を亡くした大伴旅人自身の姿を重ねているのだろう。
とは言え、「令和」発祥の地の歌としては、どうも相応しくないような。





早急に、新春! 梅の花! 宴会! が詠まれている万葉歌碑の設置を願うばかりだ。

たとえば、

正月(むつき)立ち 春の(きた)らば かくしこそ梅を()きつつ 楽しき()へめ 大弐紀卿(万葉集)
 正月になり春が来たなら、このように梅を招いて楽しい日を過ごそう
(現地の案内板より) 


太宰府政庁跡に歌碑















改元の年に訪問できて喜んでいます。






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