すさまじきもの ~歌枕★探訪~ |
長安寺(滋賀県大津市)
能「関寺小町」の謡蹟。 関寺小町と言えば老女物で、年老いた小野小町が昔を回想して舞を舞うのだが、舞台は近江の関寺とされている。 いにしえの関寺はすでに廃絶し、跡地に長安寺が建てられた。 境内には小野小町の供養塔と、謡曲史跡保存会の駒札が立っている。 【長安寺】 ・・・ 滋賀県大津市逢坂2丁目3−23 ![]() 東海道筋から京阪電鉄を越えて、山すそを上がっていったところにある。 ![]() 本堂 ![]() 小野小町の供養塔 ![]() 謡曲史跡保存会の駒札 |
侘びぬれば 身を浮き草の 根を絶えて 誘ふ水あらば 往なんとぞ思ふ | 小野小町 |
え~と、この歌は古今和歌集に収録されている。 文屋康秀が三河掾として任地に赴くときに、小野小町に同行しないかと誘ってきたもの。 これに対し、小野小町は「侘しい憂き身の上なので、誘ってくれるなら行きますよ」と応えている。 演目では、関寺の僧侶が稚児たちを連れて、近くに住む老女に昔の和歌の話を聞きに行くのだが、この文屋康秀と小野小町のエピソードの話題になった時に、老女がそれは自分が詠んだ歌だと話したことから、老女は小野小町だと分かってしまう。 まあ、そのあとに100歳になる老女の小野小町が舞を舞う場面に続く。 そして、最後は夜明けになって恥ずかしながら、老女が去っていく。 絶世の美女の小野小町も歳をとれば醜くなってしまうという話。 百年(モモトセ)の姥と聞こえしは 小町が果ての名なりけり~ 小町が果ての名なりけり~ |