すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


関の清水(滋賀県大津市)




大津市に「蝉丸神社」は三つある。
「関蝉丸神社」と「蝉丸神社(上社)」、「蝉丸神社(下社)」で、その中の蝉丸神社(下社)に「関の清水」の跡が残っている。



うちの妻が、「ユーは何しに日本へ」というテレビ番組で東海道を歩く外人を見て、自分も東海道を歩いてみたいと言い出した。
そんで、2016年5月、京都の三条大橋から東海道を歩き始めた。
けれども山科から逢坂山にかけての坂道ぐらいから、いつもの文句言いが始まった。さらに峠を越えてからは、くしゃみが止まらなくなり、大変な状況の中、蝉丸神社(下社)に到着。



いや〜、いつ来ても誰もおらず、閑散としている。




境内に「関の清水」の跡があった。




中はこんなかんじ。





この「関の清水」も歌枕である。


逢坂関の清水に影みえて今やひくらん望月の駒 紀貫之


蝉丸神社(下社)境内に歌碑





手もたゆく扇の風もぬるければ関の清水にみなれてぞゆく 曽丹集





行くと来とせき止めがたき涙をや絶えぬ清水と人は見るらむ 空蝉(源氏物語)
逢坂の関越えて、往った昔も帰る今も堰きとめかねるとめどない私の涙、
あなたはそれをただあふれて止まぬ、関の清水と見るだけでしょうに(瀬戸内寂聴) 





をば今日をかぎりの関水にまた逢坂の影や映さむ 平宗盛
私が今日の都を見ることができるのも、きっと今日が最後なのだろう。生きて再び
京に戻ってきて逢坂の関の清水に自分の姿が写っている光景を目にすることが
できるのだろうか。(「平家公達の歌」西村誠 訳) 














妻はもう東海道を歩きたくないと言い出し、結局一回で終わりました。





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