すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


千本松原(静岡県沼津市)




沼津市から富士市の田子の浦までの海岸に沿って続く松原。
まさに白砂青松であるが、現在では高潮防止のために巨大な防波堤が築かれている。


こんなかんじ


本当は、富士山が正面にバーンと見えるはずだったが、この日は曇っていた。せっかく富士の景勝地に来たのに残念。




平日の昼下がり。
車の営業マンたちの食後の昼寝スポットでもあった。




ここに千本浜公園がある。
この松原は多くの文人に愛されてきたらしく、公園内にはゆかりの文人の碑がいろいろある。




若山牧水って、酒と旅をこよなく愛していたが、若くして死んだ歌人。
有名なこの歌、

幾山河こえさりゆかば寂しさのはてなむ国ぞけふも旅ゆく 若山牧水



公園内に歌碑があった。
岡山方面に旅行した際に作った歌らしい。
名作である。













その他、井上靖とかの記念碑があったらしいが、広大な公園なのでどこにあるのか分からなかった。




この松原を植えたのが増誉上人という僧。増誉上人は念仏を唱えながら、ひとりで3カ月かかって植えたと伝えられている。
増誉上人の立像があった。

なにやら恐ろしげな雰囲気。











余りにも有名な千本松原であるが、歌枕としての和歌はそれほど残されていない。

これはどうかな?東関紀行から

千本の松原というあり。海のなぎさ遠からず、
松はるかに生いわたりて、緑の影きわもなし

見わたせば千本の松の末遠みみどりにつづく浪の上かな 源光行
千本を「ちもと」と読む






こっちは海道記

聞きわびぬ千々の松原吹く風のひとかたならずわけしをる声 海道記
 千本の松原を吹く風が、松の枝をたわませる音を聞いて、
すっかり心細くなってしまった(日本古典文学全集) 





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歌枕を詠み込んでいないが、若山牧水がこの地で詠んだ歌

松原のしげみゆ見ればが枝に木がくり見えてたかき富士が嶺 若山牧水


松の枝越しに見える富士山を詠んだもの











白砂青松はまさに日本らしい風景です。





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