すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


志香須賀(愛知県豊川市)



小生の職場に東海道マニアの人がいる。
今回、愛知静岡方面への旅行を前に、訪問予定先の一覧表を見せたところ、「へ〜、八橋に行くんか、志香須賀にも行くんか?」って言っていたので、志香須賀というところは八橋と並ぶほどの由緒ある場所なのか!、と大きな期待感をもって訪問した。


「志香須賀の渡し」にとーちゃくー!

なんにもない所。この写真の背景の高速道路があるところに豊川(昔の吉田川)が流れている。

豊川は現在までに何度も流路が変わっており、場所を特定するのは難しいと、ここの案内板に書いてあった。その通りだと思う。


「柏木浜」の碑。
舟の発着場で、「志香須賀の渡し」とよく似たものと、案内板に書いてあった。


っと、その時、列車が迫ってくる、唸るような音が!
榎木の木陰の向こうに突然JR東海の313系車輌が現れた!


この車輌を見ると名古屋に来たな〜って思う。


直後、今度は貨物列車が登場!
EF66か!


そして踏切が鳴っているので振り向くと、名鉄が通過!

なんと、ここは鉄道ファンにとっても絶好のポイントだった!




惜しむともなき物ゆゑにしかすがの渡と聞けばただならぬかな 赤染衛門(拾遺和歌集)
あなたとの別れを惜しむということもないけれども、しかすがの渡しを
行くと聞けばさすがに平然とした気持ちでもいられない。

(浜島書店)
赤染衛門が三河介になって下る大江為基に贈った歌。



思ふ人ありとなけれどふるさとはしかすがにこそ恋しかりけれ 能因法師
(しかすがの渡りにて)思う相手が都にいるというわけではないが、
ふるさとである都は、そうはいいながらも恋しいことだ。

(浜島書店)



古語辞典(旺文社)によると、
しかすがに【然すがに】(副詞)しかしながら。そうはいうものの。さすがに。
<参考>中世以降は「さすがに」に変化した。

とある。
逡巡の気持ちを表しているようだ。






 

鉄道ファンにとっても聖地であった。

  



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