すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


標茅ヶ原(しめじがはら)(栃木県栃木市)








伊吹山異説


一般的に『伊吹山』は、古事記以来近江国の山であり、古来薬草の宝庫であり、お灸の「伊吹もぐさ」が有名。百人一首で「かくとだに えやは伊吹の さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを」が詠まれている。


今回、下野国への歌枕探訪の旅の準備で、各種資料を渉猟して驚いたことは、下野国にも伊吹山があり、そこは平安時代以来の歌枕であり、さしもぐさ(ヨモギの呼名)が名産で、しかも近江の伊吹山と同じく近傍に「標茅が原」があるということ。


近江の伊吹山の二番煎じかなと思ったが、どうも歌枕においては下野国の方が本家だという説もあるようだ。


それならそれで、もっと声高に宣伝してもよいと思うが、どうも煮え切らない。


興味のある方は、インターネットで調べてください
Wikipedhia「伊吹山 (栃木県)」
全日本鍼灸学会雑誌 35巻1号 「もぐさの研究」







■ 今回訪問したのは、標茅(しめじ)ヶ原。

近江伊吹山では、山頂付近に仏教関係の神聖な立入禁止の場所があり、そこは「標茅ヶ原」と呼ばれている。

一方、下野国の標茅ヶ原は、伊吹山の東方2キロメートルぐらい、元の沼地の白地沼(しらちぬま)が転訛したものという。

いずれにせよ、近江、下野両国の伊吹山に標茅ヶ原がくっついており、興味深い。

これが下野国の標茅ヶ原の現在の姿


周囲の住宅地よりも少し低くなっているので、かつての沼だろう



これも


住宅地に囲まれているが、この一角だけ草木が生えていた。





下野国の標茅ヶ原を詠んだ歌


なほ頼め標茅が原さしも草我世の中にあらん限りは 新古今和歌集


下野しめじが原さしもぐさおのが思ひに身をや焼くらむ 古今和歌六帖


しもつけしめぢが原に春暮れて葉広さわらび人も訪ひ来ず 正岡子規









もっといろいろな歌が伝わっているが、とりあえず、これだけ紹介












下野国の伊吹山には行ってません





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