すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


下鴨神社(京都市左京区)




下鴨神社(賀茂御祖神社)と上賀茂神社(賀茂別雷神社)の関係はややこしい。
とにかく両社とも古代の賀茂氏の氏神を祀っていて、「賀茂神社」で総称されている。
両社で「葵祭」が催され、
両社の境内に「御手洗川」と「ならの小川」が流れ、
上賀茂神社で「競べ馬」の神事があり、下鴨神社は「流鏑馬」がある。
両社は平安京遷都の前から存在し、創建は歴史の彼方にある。




残されている歌についても「賀茂の社」として詠んだものが多くて、さあどっちの社のことなのか判然としないものが多い。


こんなかんじ

さりともと頼む心は神さびて久しくなりぬ賀茂の瑞垣 式子内親王(千載和歌集)
きくたびに頼むこころぞすみまさる加茂のやしろのみたらしの声 藤原定家
ちはやぶる賀茂の社の木綿襷 一日も君をかけぬ日はなし 古今和歌集
かれにけるあふひのみこそ悲しけれ あわれと見ずや賀茂の瑞垣 古今和歌集
 年をへて賀茂のみあれにあふひ草 かけてぞ思ふ御代の契を 拾玉集 


天皇陛下を寿ぐ歌、「葵(あふひ)」と「逢う日」を掛けたものなどがある。
けれどもこれだけでは下鴨なのか上賀茂なのかよくわからない。











【下鴨神社を訪問】



広大な神域で、手前は糺の森。



南口の鳥居。外人も多かった。



楼門(重要文化財)。豪壮であった。



拝殿



境内にはカラスの像があった。足が三本ある。



そしてこれが「媛小松」。
下鴨神社の祭神である玉依姫命に ちなんでいる。


このため次の歌は、たぶん下鴨神社を特定していると思われる。

ちはやぶる賀茂のやしろの姫小松よろづ世経(ふ)とも色はかはらじ 藤原敏行(古今和歌集)















最近まで「葵」という植物はヒマワリのことと思ってました。




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