すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


塩屋(和歌山県御坊市)



たちのぼる塩屋のけぶり浦風になびくを神の心とも哉(がな) 藤原実能(新古今) 
塩屋は塩藻を焼く小屋のこと。
煙が立ち上ってきて浦を吹く風になびいている。
そのように私の願いを神が受け止めてくれたらな。




思ふ事汲みて叶ふる神なれば塩屋に跡をたるゝなりけり 後二條内大臣




境内に、上記二首の歌碑あり




塩屋王子は熊野古道で御坊を過ぎたところにある。
熊野九十九王子社の一つで別名美人王子ともいわれている。
古来、熊野詣での際に歌会が催されてきた。
現在は塩屋王子神社となっている。


塩屋王子神社



別名美人王子
祈願すれば美人の子が授かるらしい。



入口
ここから石段を上っていく



こんなかんじ、かなりハード



石段を上ると、森閑とした空間の中に社殿が鎮座



拝殿



史蹟「御所の芝」、後鳥羽上皇が休憩された場所






その他、塩屋を詠んだ歌


沖つ風塩屋の浦を吹くからにのぼりもやらぬ夕煙かな 夫木集
漁り火の光にかはる煙かな 灘の塩屋の夕暮れの空 藤原家隆




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「塩屋の浦風」を激写!!
塩屋の浦の関西電力御坊火力発電所









 兵庫県の塩屋や淡路島の松帆は、同じ塩焼きの「やく」でも
 恋の嫉妬の「妬く」が絡んでいて色気があるのですが、ここの
 塩屋は熊野詣の最中なので男女の確執とは無縁で、信仰ネタ 
 の歌になっています。 





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