すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
四天王寺(大阪市天王寺区)
四天王寺は推古天皇元年に聖徳太子が建立。 曽我氏の飛鳥寺と並び、最古の仏教寺院の一つ。 歴史上、四天王寺は数多の書物に記されているが、文学的にはそれほど目立った登場の仕方をしていない。 その中で、吉田兼好「徒然草」に
とある。(天王寺は四天王寺の略称) これを読むと四天王寺は舞楽の素晴らしさで有名であったらしい。 関西のテレビ番組を見ていると、四天王寺の舞楽が紹介されることがある。奇抜な衣装(朝鮮半島風?)を着て集団で踊っている。現在まで四天王寺の伝統は守られているようだ。 能『富士太鼓』は天王寺の楽人の「浅間」と住吉の楽人の「富士」が宮中の管弦の役を巡って争いを起こす内容。 二人の名前は変わっていて面白いが、
その後、勝った「浅間」が負けた「富士」を殺す。 そしたら「富士」の奥さんが住吉から都にやってきて、「富士」の衣装を着て怒りの太鼓を打つ。 ・・・・・・といった内容。 う〜ん、なんかよく分からない。 とにかく四天王寺は昔から舞楽が盛んであったと。 とりあえず写真を掲載 ![]() 有名な正門。 寺なのに鳥居がある。 ![]() 正門から入ったところにある極楽門。 松下幸之助の寄贈。 ![]() 手前、西重門。奥の右は五重塔、その左は金堂。 ![]() 「義経の衣掛け松」があった。 頼朝に追われた義経が嵐の中を大物の浦から出航したが、途中で難破して住吉の浜にたどり着く。その後に四天王寺で休んだ後に吉野方面に落ちて行ったらしい。 ![]() 弘法大師像 弘法大師の命日の毎月21日は門前に骨董市が並ぶ。 四天王寺を詠んだ和歌を紹介 |
いとどいかに西にかたぶく月影を常よりもけに君したふらむ | 西行(山家集) |
四天王寺と言えば「亀井の水」のようだ。 そこには「白石玉出の水」が湧いていた。 |
あさからぬ契の程ぞくまれぬる亀井の水に影うつしつつ | 西行(山家集) |
にごりなき亀井の水を結びあげて心の塵をすすぎつるかな | 中宮彰子(新古今和歌集) |
諸人のむすぷ契りは忘るなよ亀井の水に劫はへぬとも | 藤原定家 |
白石の玉出の水を手に汲みて結ぶちぎりの末はにごらじ | 続後撰和歌集 |
金堂の伽藍のところから清水が湧いていて、それを「亀井の水」という。 せっかく四天王寺に行ったのに、亀井の水を見ないで帰ってしまった。(残念) 四天王寺には生き物のカメが大量にいるカメ池が有名であるが、あんまり関係ないのだろう。 能「弱法師」も四天王寺が舞台になっているが、よく知らないのでパス。 |