すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


静之窟(しずのいわや)(島根県大田市)







大汝(おほなむち)少彦名(すくなひこな)のいましけむ 志都(しつ)石室(いわや)は幾代経ぬらむ 万葉集


大汝は大国主神(おおくにぬしのかみ)のこと。少彦名神と一緒に国造りをした。
二人が住んでいた志都の岩室は、いったいどのくらい月日が経っているのだろうか、という意味。

二人の神様がお住みになっていた志都の岩室については複数の伝承地がある。それぞれに由緒が語られ、地名も因縁を感じるものがある。

と言っても、そもそも伝説上の神様の住処なので、特定されるような場所ではない。



伝承地一覧

名称 所在地 歌碑 場所 状況 応援団
静之窟 島根県大田市静間 海辺 海食洞 平田篤胤
志都の岩屋 島根県邑南町岩屋 山間 巨石 本居宣長
粟島神社 鳥取県米子市彦名 海辺 洞穴
石の宝殿 兵庫県高砂市阿弥陀町 山間 巨石
静之窟 和歌山県串本町潮岬 海辺 洞穴



今回訪問したのは、島根県大田市静間町の「静之窟」。
同じ島根県の邑南町岩屋にある「志都の岩屋」には訪問しなかった。
その理由は、邑南町は中国山地の辺鄙なところにあり、ここに行くと前後のスケジュールが組めないため。
逆に、大田市の「静之窟」は交通の便が良かったため訪問した。





この航空写真の地図のとおり、「静之窟」は海辺の小さな小さな集落のそばにある。集落の中の道は狭いので車の走行は厳しい。また集落内は駐車が厳しく禁止されているので、少し遠くに車を駐めて歩くことになる。




集落の離れに車を駐めて歩いた



小さな集落であったが、空き地も多かった
人とは誰とも会わなかった



路地を抜けると海が見えた


集落のすぐそばの崖に「静之窟」がある



これが「静之窟」



資料によると、洞窟の中は奥まで38メートル、幅が18メートル、高さは16メートルとのこと
この広さなら二人の神様も家族と一緒に住むことができる



かつてここに社殿があったらしいが、高潮で流されてしまい、その後は丘の上に遷された。現在の静間神社のこと(延喜式内社、大田市静間町垂水1765)



安全のため現在は立入り禁止。奥に万葉歌碑が見える



崖の上に由緒書きの石碑があった



ここはなんとも癒やされる場所であった














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