すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
少将井神社(静岡市駿河区)
平家物語、平重衡が一の谷で捕まって、鎌倉へ送られたのち、身柄は鎌倉武士の狩野宗茂に預けられた。重衡の人物像に感心した源頼朝は、狩野宗茂に対し平重衡を十分に労わるよう指示した。 (平家物語 巻第十 千手の前の事) そこで登場するのが「千手の前」。東海一(?)の美女。湯浴みをしていた重衡の背中を流しにきたり、ある夜、無聊の慰みに開いた宴会で、琴を弾きながら白拍子を朗詠したりと、「千手の前」が何かと重衡に心を尽くすところは平家物語の名場面である。 また謡曲「千手」はこの逸話が元になっている。 その「千手の前」は手越(静岡市駿河区)の長者の娘であり、もとの長者屋敷があったところの少将井神社が「千手の前のゆかりの地」となっている。 ![]() ジャーン!東海一の美女、千手の前の立像 ![]() これはすごい。本当に立派なものであった。 ![]() これが少将井神社。 ![]() 巨木と拝殿。村の鎮守社のような佇まい。 ![]() 謡曲「千手」ゆかりの地 ここに訪問した時のこと。 神社は手越の町の中にあって、車で探し回ったがなかなか見つからなかった。さいごに、国道に車を停めて、車で入れなさそうな場所を走りながら探して、ようやくたどり着いた。 ![]() こんな、まち中を駆けずり回った。 さて、夜が更けるまで開かれた宴会で、重衡と千手の前は次のような歌を交わしている。 |
一樹の陰に宿りあひ 同じ流をむすぶも みな是(これ)先世のちぎり | 千手前 |
灯闇(くら)うしては数行虞氏が涙 | 平重衡 |
こののち重衡は南都に送られて木津川のほとりで斬首され、千手は悲嘆に暮れて出家して尼となり、重衡の菩提を弔った。 |