すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


四十九院(滋賀県豊郷町)




まあ、なんというか


四十九院って、京都の三十三間堂ではないが、そんな名称の寺院が中山道沿いにあるのだと思っていた。

地図で見てもたしかに四十九院というのがあって、なにも疑問に感じなかった。

ところが現地を訪問したところ、寺院らしいものに四十九院という名称はなく、周辺を探してもなかった。

けれども、その地区のそこらかしこに四十九院の名称は使用され、例えば「四十九院農業組合」や「四十九院公民館」、「四十九院消防器具庫」といったあんばいである。

ここに至ってようやく判然としてきたのは、現在では四十九院は寺院の建物ではなく、一般の地名であったこと。










覧富士記の作者は四十九院で次のように詠んでいる。


四十あまりここのあたりの里の名は大和言葉にいかが残さむ 覧富士記
四十に余ること九つに当たるという、この辺りの里の名を、どうして、
三十一字の和歌に言い残すことができようか(日本古典文学全集) 


たしかにこの歌では四十九の「里の名」となっている。
覧富士記だから室町時代にはすでに里の名とされていたようだが、もっと前はどうだったのだろうか。

とにかくややこしい地名であった。





【四十九院の里の様子】

中山道沿いにある



一般的な街道沿いの街並み



寺院らしき建物があって、すわ、これぞ四十九院かなと思ったが別物だった。



たしかに地名である。



現地にあった飛出し坊や。滋賀県名物。
















実際のところ、地名であろうが建物であろうが、
今となっては、それほど関係ないような気がします。






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