すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
袖の渡し(宮城県石巻市)
<震災後5年の「袖の渡し」> 石巻市の旧北上川の河畔にある名勝「袖の渡し」 もともと、川に浮かぶ「雄島」には枝ぶりの良い松の古木が植栽されていて、見事な景観であったようだ。 ![]() 東日本大震災の津波で被災。 ![]() 雄島に渡る橋も通行禁止 ![]() 松も枯れているようだ。 雄島には保原花好(幕末明治期の石巻地元の俳人)の句碑があるのだが、近寄れない。 ![]() いろんな石碑が集められていたが、未整備であった。 ![]() 歌碑、句碑はないようだ。 ![]() 「名勝 袖の渡し」の石碑 石巻市は大震災の津波被害が甚大であったため、住宅地や商工業でさえ復興の途上にある。一部を除いて観光名所の復元はそのあとになるのだろう。 ![]() 奥の細道で芭蕉と曽良が日和山を観光したあと参詣した大島神社(住吉神社)。「袖の渡し」のすぐそばにある。 「帰ニ住吉の社参詣。袖ノ渡り、鳥居ノ前也」(曽良日記) 2016年1月12日訪問 そんな「袖の渡し」を詠んだ歌を紹介 |
みちのくの袖のわたりのなみだ川心のうちに流れてぞすむ | 相模(新後拾遺集) | |
とこもふち淵も瀬ならぬ涙川袖の渡りはあらじとぞ思ふ | 清少納言(新後拾遺集) | |
涙川浅き瀬ぞなき陸奥の袖の渡りに淵はあれども | 藤原行家(夫木和歌集) |
「袖の渡り」というフレーズの良さから多くの歌人に詠み込まれてきたようだ。涙川との組合せも最高である。 「実景が詠まれることなく、〜〜〜、涙で袖が濡れることとの関わりで詠まれることが多かった」(歌枕歌ことば辞典) |