すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
信濃なる須賀の荒野にほととぎす鳴く声聞けば時すぎにけり | 万葉集 |
下條村の根之神社の前に万葉歌碑(左)、右は不明
「須賀の荒野」は万葉集以来の信濃国の歌枕のようだが、場所は特定されておらず、候補地は3ヶ所以上ある。
この中でいうと、菅平高原は違うと思う。 一般的には、松本市笹賀と塩尻市宗賀を推す声が大きい。 そんな中、今回訪問したのは下條村の菅野。 理由は、万葉集の旅の個人ホームページとしては最大級の「万葉集を携えて」が、須賀の荒野として下條村へ訪問しているため。 ![]() (こちらを見てください) ![]() 万葉故地へ訪問する際はいつも「万葉集を携えて」を参考にしている。 そして今回はたまたま同ホームページに載っていた写真と同じ風景を撮影することができたので、実に満足している。 ![]() これが同ホームページと同じ場所で撮った写真。 撮影場所が若干ずれているが、背景は同じ ![]() 同じ場所のGoogleストリートビュー 同ホームページでは、この小道を少し進んだところから撮影したようだ。 尾根に沿った大規模な傾斜地を利用して稲作が行われており、日本の原風景というか、万葉集の時代の風景も斯くの如くかと思うほどであった。 須賀の荒野の連続写真 ![]() ![]() ![]() ちょうど雨が止んだタイミングで、雲が湧き出るような写真が撮れた。 ![]() 村の中に石碑が墓標のように立っていた。 ![]() いやいや、菅野地区の概観図であった。 この辺りの村は、どの家にも白塗りの土蔵が建っていてびっくりした。昔から豊かな村だったようだ。 須賀の荒野を詠んだ歌 |
信濃なるすがの荒野に住む熊の おそろしきまで濡るる袖かな | 散木奇歌集 |
いかばかり草葉に露のあまるらむ すがの荒野に秋立ちにけり | 後鳥羽院集 |
東路のすがの荒野の初尾花 いつまでものを思ひ乱れむ | 藤原隆房 |
水無月のすがの荒野の郭公 まだ萩咲かずまたかへりなけ | 壬二集 |
郭公いつかわすれむ東路や すがの荒野のよはの一声 | 千五百番歌合 |
信濃なる菅の荒野を飛ぶ鷲の翼もたわに吹く嵐かな | 賀茂真淵 |
春の雪あがきにくだきなる菅のあら野の駒いさむなり | 上田秋成 |