すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


須賀の荒野(長野県下條村)





信濃なる須賀の荒野にほととぎす鳴く声聞けば時すぎにけり 万葉集


下條村の根之神社の前に万葉歌碑(左)、右は不明




「須賀の荒野」は万葉集以来の信濃国の歌枕のようだが、場所は特定されておらず、候補地は3ヶ所以上ある。

 
菅平(すがだいら)高原 菅平高原自然館に歌碑
湿原地帯
松本市笹賀(ささが) 菅野(すがの)中学校に歌碑
万葉学者の折口信夫博士の学説による
この学説により「菅野」中学校と命名される
塩尻市宗賀(そうが) 宗賀小学校に歌碑
縄文時代の遺跡
下條村菅野 村内に歌碑
峰竜太のふるさと(看板あり)
合計出生率は2.0以上
その他、長野市の川中島など 




この中でいうと、菅平高原は違うと思う。
一般的には、松本市笹賀と塩尻市宗賀を推す声が大きい。
そんな中、今回訪問したのは下條村の菅野。
理由は、万葉集の旅の個人ホームページとしては最大級の「万葉集を携えて」が、須賀の荒野として下條村へ訪問しているため。



(こちらを見てください)
須賀の荒野


万葉故地へ訪問する際はいつも「万葉集を携えて」を参考にしている。
そして今回はたまたま同ホームページに載っていた写真と同じ風景を撮影することができたので、実に満足している。


これが同ホームページと同じ場所で撮った写真。
撮影場所が若干ずれているが、背景は同じ




同じ場所のGoogleストリートビュー
同ホームページでは、この小道を少し進んだところから撮影したようだ。






尾根に沿った大規模な傾斜地を利用して稲作が行われており、日本の原風景というか、万葉集の時代の風景も斯くの如くかと思うほどであった。



須賀の荒野の連続写真





ちょうど雨が止んだタイミングで、雲が湧き出るような写真が撮れた。




村の中に石碑が墓標のように立っていた。




いやいや、菅野地区の概観図であった。
この辺りの村は、どの家にも白塗りの土蔵が建っていてびっくりした。昔から豊かな村だったようだ。










須賀の荒野を詠んだ歌


信濃なるすがの荒野に住むの おそろしきまで濡るる袖かな 散木奇歌集


いかばかり草葉に露のあまるらむ すがの荒野に秋立ちにけり 後鳥羽院集


東路すがの荒野の初尾花 いつまでものを思ひ乱れむ 藤原隆房


水無月のすがの荒野郭公 まだ萩咲かずまたかへりなけ 壬二集


郭公いつかわすれむ東路すがの荒野のよはの一声 千五百番歌合


信濃なる菅の荒野を飛ぶの翼もたわに吹く嵐かな 賀茂真淵


春の雪あがきにくだきなる菅のあら野いさむなり 上田秋成











地図は根之神社。万葉歌碑は根之神社の前にある






須賀の荒野は下條村に一票!






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