すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
須加の山(富山県高岡市)
心には 緩ふことなく 須加の山 すかなくのみや 恋ひわたりなむ | 大伴家持(万葉集) | |
心の中では惜しむ気持ちが薄らがないまま、(すかのやま)すっかり しょげ返って恋い慕い続けることになるのであろうか 「越中万葉を楽しむ」(高岡市万葉歴史館) |
大伴家持は越中守として在任中、よく鷹狩に出掛けたが、ある時、部下がお気に入りの鷹を逃がしてしまったらしい。家持は残念で残念で仕方がなく、夢の中でも鷹を探していた。 そんな思いを詠んだのがこの歌。 一見、別れた恋人を思い続けるような歌であるが、じつは逃げた鷹を愛惜する内容。 「須加の山」は「すかなく」(しょげ返る)を導くもの。 「須加の山」は奈良時代の東大寺墾田の「須加野庄」の近くにあった山とのこと。 現在、須加野庄の跡に記念碑が建てられているとの情報があったので、行ってきた。 ![]() 「東大寺開田 須加野社地址」碑 須加野庄の墾田は、東大寺の大仏を維持管理するために朝廷から認められていたらしい ![]() 石碑は田んぼの真ん中にあった ![]() 西北の山が須加の山とのこと |
色染むる木の葉の里の |
弘長百首 |
越中国の名所として「木葉村」があったようだ。 現在では木葉村がどこにあったのか分からなくなっているが、この証歌のとおり須加の山風が吹いている場所ということなので、射水郡のどこかにあった村里なのだろう。 |
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