すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
長野県のヘソのような場所にある。 2021年8月21日放送のブラタモリが訪れたのは諏訪方面。諏訪湖がどうやってできたのか、簡単な道具を用いて説明していた。 それによると、諏訪湖の南側と北側には糸魚川静岡構造線が分岐して平行に走っており、これらの断層がそれぞれ横ずれの運動を起こしたために隙間が空くように凹みができたとのこと。 しかも中央構造線も諏訪湖で交差しており、正に日本のヘソのような場所である。
そんな諏訪湖はまた著名な歌枕の地でもある。古来多くの歌が詠まれている。 ほとんどの歌の題材として、冬に湖面が氷ることと、神事である 御神渡りとは、諏訪湖が全面結氷すると亀裂してせり上がり、氷の山脈ができること。諏訪神社上社の男神が下社の女神のもとへ通った道筋といわれている。 |
諏訪の海の氷の上の通ひ路は 神の渡りて解くるなるけり | 源顕仲 |
諏訪の海や氷を踏みて渡る世も 神し守らば危ふからめや | 宗良親王 |
東なる諏訪のみわたりいかならん こほらぬ西もあやうかるへき | 藤原為家 |
氷りしてかち渡りする諏訪の海に 出でわづらふは鴨のうきふね | 法橋顕昭 |
月影をこほりと見れど諏訪のうみに うへふむ冬はまだしかりけり | 源頼政 |
冬来れば駒うちわたす諏訪の湖の いくへとぞ無き人のつららは | 源頼政 |
諏訪の湖のみぎはに月はこほれども まだよかれせずあちのむら鳥 | 寂蓮 |
今朝しもや諏訪の氷のひま割れて をしふる駒のこゑなづむらむ | 藤原親隆 |
諏訪のうみやこほりすらしも夜もすがら きぞのあさぎぬ冴えわたるなり | 藤原清輔 |
花をまつ諏訪のわたりもあるものを いつを限りにすべきつらゝぞ | 西行 |
冬来れば氷のうへも玉鉾の 諏訪のわたりは休らひもなし | 藤原家隆 |
秋の田のゆたかにめぐる諏訪のうみ 霧ほがらかに山に晴れゆく | 長塚 節 |
夕日さし虹も立ちぬと舟出せば また時雨くる諏訪の湖 | 伊藤左千夫 |
諏訪のうみに遠白く立つ流波 つばらつばらに見んと思へど | 斎藤茂吉 |