すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
鈴鹿(三重県鈴鹿市)
鈴鹿山うき世をよそにふり捨てて いかになりゆく我が身なるらむ | 西行 | |
世にふればまたも越えけり鈴鹿山昔の今になるにやあるらん | 斎宮女御(拾遺集) | |
いそぎこしことぞくやしき鈴鹿山紅葉時雨も今ぞ降るなる | 能因法師 | |
鈴鹿山しづのをだまきもろともにふるにはまさることなかりけり | 規子内親王 | |
ふりすててけふは行くとも鈴鹿川やそ瀬の波に袖はぬれじや | 源氏物語 | |
ふりはてて又も越えばや鈴鹿川もしも八十せにかかる身ならば | 室町殿伊勢参宮記 |
鈴鹿山も鈴鹿川も著名な歌枕。 なんといっても東海道や伊勢路の往来にあり、都からも近く、しかも難所ときたものだから古来多くの歌人が歌を詠んだメジャーな歌枕の地である。 東海道を下って鈴鹿山を越えたところに関所があったので、鈴鹿山と関をカップリングにした歌が多いが、これらは「関」のページにまとめたので参照願いたい。 さて鈴鹿の歌については、以前から「ふりすてて」という言葉がよく使われているなと思っていたが、『歌枕歌ことば辞典』によると「ふる」は鈴鹿の「鈴」の縁語だったようだ。よくみると「ふりすてて」だけではなく、それぞれいろんな「ふる」が使われていた。 そんな鈴鹿の風景を撮った写真は一枚だけ。 ![]() 桑名市星川付近から撮ったもの。遠くに鈴鹿山脈。 あれだけ鈴鹿山脈を見える場所をウロウロしてきたのに、全然写真を撮っていなかった。 鈴鹿川もそう。鈴鹿川の堤防に車を停めて休憩したりしていたが撮影無し。 WIKIPEDIAに鈴鹿山脈の写真があったので拝借した。 |
現在では鈴鹿山という山はなく、岐阜県から三重県と滋賀県の県境沿いに連なる山脈のことを鈴鹿山脈という。 昔は鈴鹿の関のあたりの山のことだったのだろう。 |