すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


高浜(島根県出雲市)





とてもマイナー


江戸時代中期、歌僧の明珠庵釣月は日本の和歌発祥の地である出雲に憧れて江戸からやってきた。釣月は出雲歌壇の中心的な存在となり、八雲神詠の歌道を大いに盛り上げた。


そして晩年、釣月は「大社八景」の和歌を出雲大社に奉納している。これは釣月自ら大社周辺の景勝地を選定したのち、わざわざ京へ上洛して著名人たちに八景を題材として歌の制作を依頼したもの。


現在は「出雲大社八景」として伝わっている。


八景の内容は次の通り

 ・関屋翠松 (別ページで紹介)
 ・素鵞川千鳥 (出雲大社の西縁を流れる川)
 ・御碕山秋月 (出雲大社の背後の山)
 ・真名井清流 (出雲大社の東方にある井戸)
 ・出雲浦魚舟 (出雲大社近くの漁港)
 ・八雲山晴嵐 (どこだろうか)
 ・社頭夜燈 (出雲大社の前)
 ・高濱暮雪 (←本ページ)


まあこんな感じであるが、どれも実際マイナーの域を出ない。


その中でも最もマイナーっぽいのが高濱暮雪。


まず高濱暮雪を詠んだ歌を紹介


漕ぎかへる小舟も見るや夕風に 雪の波寄る高濱の松 武者小路実陰(出雲大社八景)


「小舟を漕ぐ」とか「波が寄る」とか「高濱」という地名も水辺の近くを連想する。かつて斐伊川は中国山地から出雲平野に出てから西流し、そのまま日本海へ注いでいた。そのころ高濱は斐伊川のほとりに位置していた。
江戸時代の初期に斐伊川は人為的に流路変更がなされ東流して宍道湖へ注ぐようになったのだが、のちに、この歌が作られた江戸中期には湖のようなものが残っていたのかもしれない。
「暮雪」と言うからには寂しいところだったのだろう。





【現地訪問】

出雲大社から東へ5キロぐらい、一畑電車で出雲大社前駅から3駅目に「高浜駅」がある。

のどかな田んぼが広がる中を一畑電車のローカル線が走る。小さな集落の中に無人の駅がある。

一般的な田舎の光景であるが、ローカル私鉄のファンでもなくても興趣を覚える光景だろう。



一畑電車の高浜駅



隣の「川跡」駅の地名が気になる



駅から東を眺める



近くの保育園に電車が保存されていた。



あんまり周辺人口もない中で、一畑電車はこれからもやっていけるのであろうか。路線を見る限り、バスで十分だと思った。



真夏に行ったので、「暮雪」は味わえなかった。














とくに感想はありません






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