すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


高角山(たかつのやま)(島根県江津市)







石見のや高角山の木の間より我が振る袖を妹見つらむか 柿本人麻呂(万葉集)


江津市島の星町291の人丸神社に歌碑




この万葉歌は、国司として赴任していた柿本人麻呂が単身で上京する際に、現地に残る妻を思って詠んだ歌。
高角山の木の間から袖を振っている姿を妻は見ているだろうか、との意味。



なんとこのシーンを江津市の人丸神社で再現されている。


柿本人麻呂と妻の依羅娘子(よさみのおとめ )の二人の銅像
木々の中の柿本人麻呂がこちらに向けて袖を振っている
それを依羅娘子が見ているという構図



ちゃんと「木の間」の柿本人麻呂が再現されている、素晴らしい!



それを見ている依羅娘子



ここは島の星山(昔の高角山)の中腹
小さな公園になっていて、その先から坂道を上がっていくと展望台があり、万葉故地の「尾上の山」がよく見えるらしい



人丸神社
真夏に行ったのだが、クモやヘビが苦手なので、これ以上入らなかった
薄暗い中に小さな祠が見える



島の星山(高角山)の写真が撮れていなかったので、次の日の朝に江川河口から撮影、奥の高い山
写真ではこの程度であるが、実際に見るとそれなりに存在感のある山であった






後世、さまざまな歌人が高角山を詠んでいるが、柿本人麻呂の歌の影響は大きいようだ
また、「月」もキーワードとなっている


石見潟高角山に雲晴れて 領巾振る峰を出づる 後鳥羽上皇


石見のや夕こえくれて見わたせば 高角山ぞいざよふ 二条為氏(続古今和歌集)


移りゆく世々は経ぬれど朽ちもせぬ 名こそ高角の松の言の葉 細川幽斎(九州道の記)
「高い」と「高角」を掛けている


風のおとの幾代雲ゐに聞こえあげて 高つの山に秋は来ぬらむ 賀茂真淵





次の歌は、正徹物語の中で柿本人麻呂の辞世の歌だと紹介されているが、よく分らない


石見潟高津の山木の間より この世のを見果てつるかな 正徹物語









島の星山は昔の高角山のこと
中腹に人丸神社がある







真夏でなかったら、いろいろ公園内を散策するのに残念です







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