すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
石見のや高角山の木の間より我が振る袖を妹見つらむか | 柿本人麻呂(万葉集) |
この万葉歌は、国司として赴任していた柿本人麻呂が単身で上京する際に、現地に残る妻を思って詠んだ歌。 高角山の木の間から袖を振っている姿を妻は見ているだろうか、との意味。 なんとこのシーンを江津市の人丸神社で再現されている。 ![]() 柿本人麻呂と妻の 木々の中の柿本人麻呂がこちらに向けて袖を振っている それを依羅娘子が見ているという構図 ![]() ちゃんと「木の間」の柿本人麻呂が再現されている、素晴らしい! ![]() それを見ている依羅娘子 ![]() ここは島の星山(昔の高角山)の中腹 小さな公園になっていて、その先から坂道を上がっていくと展望台があり、万葉故地の「尾上の山」がよく見えるらしい ![]() 人丸神社 真夏に行ったのだが、クモやヘビが苦手なので、これ以上入らなかった 薄暗い中に小さな祠が見える ![]() 島の星山(高角山)の写真が撮れていなかったので、次の日の朝に江川河口から撮影、奥の高い山 写真ではこの程度であるが、実際に見るとそれなりに存在感のある山であった 後世、さまざまな歌人が高角山を詠んでいるが、柿本人麻呂の歌の影響は大きいようだ また、「月」もキーワードとなっている |
石見潟高角山に雲晴れて 領巾振る峰を出づる月影 | 後鳥羽上皇 |
石見のや夕こえくれて見わたせば 高角山に月ぞいざよふ | 二条為氏(続古今和歌集) |
移りゆく世々は経ぬれど朽ちもせぬ 名こそ高角の松の言の葉 | 細川幽斎(九州道の記) |
風のおとの幾代雲ゐに聞こえあげて 高つの山に秋は来ぬらむ | 賀茂真淵 |
次の歌は、正徹物語の中で柿本人麻呂の辞世の歌だと紹介されているが、よく分らない |
石見潟高津の山の木の間より この世の月を見果てつるかな | 正徹物語 |