すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


玉造江(宮城県大崎市)





今回はみちのくの玉造江。

玉とは、昔の白玉、紅玉、碧玉、珠玉、真珠、なんだか分からないが宝石のことだったのだろう。
そんな素晴らしいモノを造っている場所なので、さぞかし美しかろうということで、玉造江は歌枕となってきた。

とは言え、実際どこが玉造江なのかよく分からない。
どこかに案内板でもあるのだろうか。


江戸時代の地誌「奥羽観蹟聞老志」によると、
 玉造川 或称玉造江
其河原出于仙北自中山合鬼首川過鳴子大口分岩手山与下一栗之間作二流其南過岩手山新田夜鴉之邑而到于古川緒絶橋其北経上野目成田三丁目過于古川北江合橋過数村到涌谷城下東而合于来神佐沼川二流而其末入于海
とあって、余計に分からなくなった。


松尾芭蕉に随行した曽良が記した「曽良日記」には、
 宮 一ツ栗ノ間、古ヘハ入江シテ、玉造江成ト云
とあって、入り江があったようだ。



まあ、とにかく玉造江の歌を並べてみよう。

陸奥の 玉造江に こぐ舟の 帆にこそいでね 君を恋ふれど 小野小町

をく露の玉つくり江にしけるてふ蘆の末葉のみたれてそおもふ 常磐井入道前太政大臣(玉葉恋)

湊路にいさ舟とめむ今宵われ玉つくり江に照月を見て 中納言高定

蘆の葉のしけみに露をふきとめて玉造江に村雨そふる 藤原知家

月もすむ玉つくり江はあられふりこほりみかける名に社有けれ 藤原俊成(夫木和歌抄)

ひとつしてよろつをてらす月なれは底も見えけり玉つくり川 源重之(夫木和歌抄)


う〜ん、多分だれも現地に行っていないのだろう。




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さて、現地訪問であるが、とりあえず「玉造」と名が付くポイントを目指した結果、「玉造クリーンセンター」に到着。


廃棄物リサイクルというか、ゴミ収集のトラックが出入りしていた。



この先に川があるのだが、これ以上入れなかった。



江合川。
玉造江は玉造川であって、現在の江合川のことだろう。



灌漑用の堰



一般的にきれいな光景であった。
















日本三玉造とは、陸奥と大阪と島根県とのこと






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