すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


玉津島(和歌山市)






古代、和歌の浦にあった島。
現在では陸地とつながっている。
ここに玉津島神社がある。
歴史的景勝地、和歌浦の中心地となっている。


この玉津島神社は住吉大社、柿本神社と並ぶ和歌の神として、古来より和歌を詠む人々の崇敬を集めてきた。


特に有名なのが聖武天皇が和歌浦へ行幸した際にその景観に感動したという逸話。同行した山部赤人が次の和歌三首を詠んだ。

やすみしし わご大君の 常宮と 仕へまつれる 雑賀野ゆ   背向に見ゆる 沖つ島 清き渚に 風吹けば 白波騒き 
潮干れば 玉藻刈りつつ 神代より 然そ尊き 
玉津島山 

(反歌2首)
沖つ島荒磯の玉藻潮干満ちてい隠りゆかば思ほえむかも

若の浦に潮満ち来れば潟を無み葦辺をさして鶴鳴き渡る 



玉津島神社の境内に歌碑





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【玉津島神社】




玉津島を含めた和歌の浦一帯は、和歌山市随一の名勝地。
和歌の浦の干潟と、玉津島の迫力ある岩塊、そして鎮座する玉津島神社の静寂(というか、参拝客が少ない)。

観光資源としては抜群なのであるが、和歌浦や雑賀崎を含めて、昭和時代のイメージがついていて、どうも盛り上がらないものがある。

そんなかんじで、時代に取り残された感がある和歌浦の玉津島であるが、万葉時代以降、多くの貴人の来遊があり、多くの歌が詠まれている。


玉津島見れども飽かずいかにして包み持ち行かむ見ぬ人のため 万葉集


玉津島神社境内に歌碑


意味は、「玉津島は見てても飽きないが、これを見ていない人のためにどうやって届けようか」というもので、現在の観光行政にも通じるテーマであろう。









   










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末社の塩竃神社。この左に玉津島神社がある。



不老橋。その向こうが玉津島神社。
この山塊全体が昔の玉津島で、干潟に浮かんでいたらしい。









紀伊国名所図会「玉津島」 (国立国会図書館)











行く値打ちのあるところでした。





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