すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


田村神社(滋賀県甲賀市)




滋賀県甲賀市の田村神社は、平安時代の征夷大将軍、坂上田村麻呂を祀っている。

奥州鎮圧で名を馳せた田村麻呂は、今度は鈴鹿峠に出没していた鬼退治に派遣され、これを平定した故事による。

鬼退治とは、なんだかよく分からないが、この鈴鹿峠付近では古来さまざまな「鬼退治」の奇譚が伝わっており、その中で「藤原千方の四鬼」は太平記で朝敵として登場する。

このたぐいの話は苦手であるが、とりあえず東海道名所図会の田村神社の貢を参考に紹介する。

・天智帝のころ、逆臣藤原千方は、金鬼・風鬼・水鬼・隠形鬼の四鬼を随えて、反乱を起こす。
・帝は紀友雄に千方を討たしめた。
・友雄は一首を詠んで敵軍へ贈った。

草も木も我が大君の国なればいづくか鬼のすみかなるべき 紀友雄

草も木も何もかも天皇陛下の国なので、どこに鬼の棲み処があろうか、という内容で、これを聞いた鬼たちは皆逃げてしまい、千方は友雄に討たれた 
・・・ という内容。



まあ、坂上田村麻呂の鈴鹿攻めは実記録にないらしく、それでも人々に広く知られることになったのは「これ観音の仏力なり」と東海道名所図会に書かれている。











う〜ん、
いろいろとややこしい展開になったが、旧東海道を歩いた時に田村神社に参拝してきた。





【田村神社】 ・・・ 滋賀県甲賀市土山町北土山469


田村神社の一の鳥居。
旧東海道もここから二の鳥居まで参道を通る。



本殿



境内を小川が流れていた。禊場もあるようだ。



境内のからは田村川に下りることができる。



これが田村川。左に田村神社がある。


田村川を詠んだ句


鮎の背に朝日さすなり田村川 井上士朗


田村川に架かる海道橋の北詰に句碑




この田村川に架かる海道橋こそ、広重の浮世絵の「土山宿」に描かれていたもの。


(Wikipediaより)

現在ではこんなかんじ

対岸の森は田村神社。浮世絵の方にも何やらそれらしきものが描かれている。
これはこれで大満足となった。





伊勢参宮名所図会「田村大明神社」

早稲田大学図書館













田村神社の名物は「かにが坂飴」らしいです








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