すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
棚倉の野(京都府木津川市)
万葉集に詠まれた「棚倉の野」は、京都府の南部に数か所の候補地がある。 @京都府木津川市の棚倉駅の周辺 A京都府井出町井出 B京都府京田辺市田辺棚倉の付近 (木津川市観光協会のホームページ) 「棚倉の野」を詠んだ万葉歌は次の一首 |
手束弓 手に取り持ちて 朝猟に 君は立たしぬ 棚倉の野に | 万葉集 |
歌の内容は、「わが君は手束弓を手に持って棚倉の野へ朝の狩りに出掛けた」ということで、「棚倉の野」は狩猟地であったようだ。 「君」は聖武天皇のことで、山城の恭仁に都があった頃のこと。 実際のところ、「棚倉の野」がどこであったとしても別に構わないのだが、検討の結果、訪問した先は、@木津川市の棚倉駅の周辺。 理由は、歌碑が設置されているため。 万葉故地巡りをしている者にとって、歌碑の存在は大きいね。 ちなみにここの「棚倉」の地名は明治時代に付けられたらしく、今ではJR 棚倉駅や棚倉小学校もあるけど、本当は「棚倉の野」とは何ら関係ないのかも知れない。 ただし、地形マニアとしては「天井川」が観察できる興味深い場所。 京都の山地には風化した花崗岩が多く、川への土砂流入が激しいため川床の上昇を招き、天井川を形成しやすい。 天井川を見慣れていない私にとっては驚きの連続であった。 ![]() これが「棚倉の野」、かも ![]() 天井川 川床(左)よりも住宅地(右)が低い。 川の下を道路が通ったり、川と水路の立体交差があったり、楽しめた。 ※ 私の職場には滋賀県草津在住、兵庫県芦屋在住の人がいて、日常的に天井川を見ているらしく、いつも羨ましく思っていた。 その他、木津川市から井出町にかけて「木津川の自然堤防」「木津川の後背湿地」「木津川の河岸段丘」が見事な具合で観察できる。 |