すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
「淡輪」は、大阪府の最南端の町、岬町にある。 岬町の けれども深日の隣の「淡輪」も万葉故地であるとは、まったく知らなかった。 最近、「万葉を歩く 大阪の恋歌」(大川貴代著)という本を読んだのだが、その中で「淡輪」に関わる万葉歌が紹介されていた。 |
我も思ふ人もな忘れおほなわに浦吹く風の止む時なかれ | 笠女郎(万葉集) | |
「私もこんなに思っています。あの人も私を忘れないで。淡輪の海岸に吹きつける 風が止むことのないように、私のことを想い続けて。」(万葉集を歩く/大川貴代) |
この中の「おほなわ」が淡輪のことらしい。 たしかに、深日は「ふけひの浦」であって『吹く』に通じ、「時つ風」や「沖つ風」が吹く浦として詠まれることが多く、その流れで隣町の淡輪にも浦風が吹いているというこの歌は、なんとも納得感がある。 さっそく淡輪に出掛けてきた。 【淡輪ヨットハーバー】 ![]() 外国に来たような光景であった。 ![]() この日、浦風は吹いていなかった。 【淡輪 ときめきビーチ】 ![]() 夏は海水浴客でにぎわう 【大阪府立青少年海洋センター】 ![]() ここは、学卒後に就職した会社の労働組合主催の宴会があったところ。 なつかしい。 20年以上も前もボロボロであったが、今はどうなっているのだろう。 江戸時代の観光案内書である「和泉名所図会」の淡輪の頁には、万葉集云々の記述はなく、その頃はまだ万葉故地として認識されていなかったようだ。 そのかわり、下のような恐ろし気な説明がなされていた。
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