すさまじきもの ~歌枕探訪~


茅渟神社(大阪府泉南市)





妹がため貝を拾ふと茅渟の海に濡れにし袖は干せど乾かず 万葉集
貴女のために貝を採りにチヌの海に入ったが結局貝は見つからなかった。
その時に濡れた袖が(と言うか、悲しくて涙が止まらず)なかなか乾かない。



茅渟の海の浜辺の小松根深めて我れ恋ひわたる人の子ゆゑに 万葉集




 古代、大阪湾を「茅渟(チヌ)の海」といった。
いろんな説があるが、神武天皇の東征で、難波江の草香でナガスネヒコに敗れ、いったん男之水門まで退却し、兵士たちが傷口を洗っていると、に染まった水がのようにたまったことから、「ち」の「ぬ(ま)」となった、これが一般的な解釈。



「チヌの海」は大阪湾の堺から岸和田、泉南にかけての海域の古称であり、特定の場所はないので大阪湾南部の写真なら何でもいいのだろうけれど、なんと泉南市樽井にまさに「茅渟神社」という神社があったので、とりあえず行ってきた。





【茅渟神社】  大阪府泉南市 樽井5丁目11−9

村の中にあり、見つけにくい。



12月中旬に訪問。
神社関係者が初詣の準備をしていた。





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そして、なんと茅渟神社は「釣りの神様」でもあった。
関西ではクロダイのことをチヌと言うが、これは大阪湾(茅渟の海)でチヌがよく釣れることから、魚名になってしまったとのこと。
釣り師、とくにチヌ師たちの聖地になっていた。


私も来年の大漁祈願をした。






チヌ、49センチです。
2月に和歌山市水軒の新波止にて。




時期的に、脂がのっていました。











駐車場がなくて大変でした。





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