すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


垂水(神戸市垂水区)




万葉故地としての「垂水」は大阪府吹田市の垂水神社が有名であるが、神戸市垂水区も候補地として名乗りあげている。

WIKIPEDIA(神戸市垂水区)にも地名の由来として、「垂水という地名は、かつて塩屋―東垂水の間に複数の滝(垂水)があったことに由来する。この滝の歴史は古く、万葉集でも「石ばしる垂水の上のさわらびの萌え出づる春になりにけるかも」(志貴皇子)と詠まれている。」と万葉時代からの地名であるかのように説明されている。

個人的には、「垂水」は滝のことで、一般名詞だと思っているが、歌枕巡りを趣味としている者として、それを言っちゃおしまいだろう。


インターネットの情報によると、東垂水に「平磯緑地」という公園に6基の万葉歌碑が設置されているようだ。しかし、2キロにわたる公園の遊歩道を往復しなければならず、7月の真夏の日中に往復4キロは厳しいと判断し、これはパス。

万葉集とは関係はないが、前から行きたかった五色塚古墳に行ってきた。


【五色塚古墳】神戸市垂水区五色山4丁目

後円部。



明石大橋の主塔が見える。



前方部から後円部を望む



古墳ができた当時のまま、小石を敷き詰めている。



空堀部分


古墳の敷地の中に入れるのだが、駐車場が遠いので断念した。
後円部からは見事な明石海峡が望めるらしい。





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こんな垂井を詠んだ歌


石走る 垂水の水の はしきやし君に恋ふらく 我が心から 万葉集


命をし 幸くよけむと 石走る 垂水の水を むすびて飲みつ 万葉集


石走る 垂水の上の さ蕨の 萌えいづる春に なりにけるかも 志貴皇子(万葉集)




平磯緑地の万葉歌碑の説明文がインターネットで公開されていたので読んでみた。
 ・・・・・・(前略)
 これらの歌の“垂水”については諸説があり、必ずしも神戸市垂水区を歌ったものではないかもしれませんが、垂水区に住んでいる私たちは、この地に因んで歌われたものと考えています。
 (後略) ・・・・・・
(垂水に古典文学碑を建立する会)
これを読む限り、地元の人たちもかなり謙虚に考えておられるようで、応援したくなる。




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播磨名所巡覧図会の「垂水神社」
(早稲田大学図書館)

垂水神社は現在の海神社(垂水駅南側)










平磯緑地にある海釣り公園は大物が釣れるポイントとして有名です





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