すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


龍田大社(奈良県三郷町)




とにかく龍田大社の位置する三郷町周辺は古来から聖なる地であったようだ。

「大和万葉旅行」(堀内民一)の記述によると、
竜田万葉の故地の中心は、「竜田風神祭祝詞」にあらわれているように、「朝日の日向ふ処、夕日の陽隠る処」の、竜田の立野なる神奈備の杜である。すなわち、生駒郡三郷村大字立野にある竜田神社の杜だ。
とある。


この辺りは、「龍田大社」を中心に「岩瀬の杜」「三室山」「神南備社」、それから「竜田山」「竜田川」があって、万葉故地というよりも、古典和歌の聖地のような場所である。

ただし大阪への通勤に便利なことから、近年大規模な住宅開発が進み、いにしえの面影はあまり残っていないようだ。







とりあえず、龍田大社へ行ってみた。


逆光になっていてよく分からないが、スケールの大きなものがあった。



これも。これは拝殿。



境内の風景。
“竜田”だけに紅葉の木が多かった。紅葉の季節に来てみたい。



こんな龍田大社を詠んだ歌


島山を い行き廻(もとほ)る 川沿ひの 岡辺の道ゆ 昨日こそ 我が越え来しか 一夜のみ 寝たりしからに 峯の上の 桜の花は 滝の瀬ゆ 散らひて流る 君が見む その日までには あらしの 風な吹きそと 打ち越えて 名に負へるに 風祭せな  高橋虫麻呂
万葉集
島山を回り込むように流れる川に沿った岡辺の道を通っ て、確かに昨日のことだった、私が越えて来たのは。一晩寝ただけなのに峯の上の桜の花は滝の瀬を散って流れている。あなたが見る、その日までは、激しい風 よ吹くなと、竜田道を越えて、風の神として知られている龍田の社で、風を鎮める祭祀をしよう 
(柏原市ホームページより)


龍田大社の境内に歌碑


上の歌の「」が「龍田大社」を指す







我が行きは 七日は過ぎじ 龍田彦 ゆめこの花を 風にな散らし 高橋虫麻呂(万葉集)
私の旅は、7日はかからないだろう。風の神である龍田彦よ、どうか、
この花を風で散らさないでおくれ(柏原市のホームページより)
 


「三郷駅西」の交差点の北側に歌碑







その他、本当にたくさんの「竜田山・竜田川」を詠んだ歌が残されているが、あまりに多いので割愛。
有名なこの歌だけ紹介したい。


風吹けば 沖つしら浪 たつた山 よはにや君が ひとりこゆらむ 伊勢物語





 





あと、龍田大社の摂社である神南備神社の写真が手元にあるので、この際に掲載





そんで、これが近くを流れる神南備川




神南備神社も神南備川も、それなりに由緒があるのだが、
きちんと調べていない。












竜田揚と何か関係あるのかな?





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