すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


手結の浦(福井県敦賀市)




福井県敦賀市の「田結」は、昔は「手結」の文字が充てられ、この「手結」の海岸は万葉歌にも詠まれた由緒ある万葉故地である。

万葉歌人の笠朝臣金村が、敦賀の港から舟に乗り、さらに北の方へ向かった際に、舟の上から手結の海岸を見て、次の長歌と反歌を詠んだ。


越の海の 角鹿の浜ゆ 大船に 真楫貫き下ろし 鯨魚取り 海道に出でて 喘きつつ 我が漕ぎ行けば ますらをの 手結が浦に 海人娘子 塩焼く煙 草枕 旅にしあれば ひとりして 見る験なみ 海神の 手に巻かしたる 玉たすき 懸けて偲ひつ 大和島根を 笠金村
(万葉集)


(反歌)
越の海の 手結が浦を 旅にして 見れば羨しみ 大和偲ひつ 笠金村(万葉集)


国道8号線、敦賀バイパスの田結口交差点に反歌の歌碑




まあ、遠慮なく言うと、たまたま舟から見た海岸の「手結」の地名は、大和の自宅にいる妻がいつも衣服のヒモを手で結んでくれていたことを思い出し、望郷の念が募ったということであって、手結の浦の景色が特に素晴らしかったわけではない。
もう一つ言うと、長歌の中でも「漁師の娘が塩を焼いている光景も独りではあまり見る気が起こらない」と、素っ気ない。


そんな手結の浦、現在の田結海岸を訪ねた。



バイパスの交差点にある万葉歌碑と「田結海水浴場」の案内板



これも案内板



朝三時半に家を出たので、敦賀には六時に到着。
まだ海水浴場は開いていなかった。
ちょうど真夏の海水浴シーズンなので、海岸への出入り口は厳重に閉ざされていたり、または係員がいて入場料500円を請求されたりした。
写真を撮るだけで500円を払うのも意味がないので退散した。



その後、国道を北へ進んだところに、田結海岸を眺望できるポイントがあったので、写真撮影。
現地では、きっちりと田結海岸が見えたが、写真になるとよく分からないものになった。
(後ろの山の煙突は敦賀火力発電所)














早朝の雨の日でしたが、海水浴客はかなり来てました






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