すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


手越(静岡市駿河区)




ちょっと小ネタ。

手越と言えば、太平記の「手越河原の戦い」が思い浮かぶ。




手越河原に押し寄せて 東西へ渡しつ渡されつ 午の刻の始めより 酉の下がりまで 十七度までぞ戦いけり 夜に入りければ 敵味方共に人馬を休め 河をへだてゝ篝火を焼き 初めは月雲に隠れて 夜すでに更けにければ 義貞の方より究竟の射手をすぐりて 藪の陰より敵の陣近く忍びより 後陣に控えたる勢の中へ 雨の降るごとく込矢をぞ射たりける(太平記 巻十四)





多分、手越河原とはこの辺りのことだろう。
手越の対岸の安倍川公園から西の方、安倍川を望む。
ただ、安倍川は古来何度も氾濫を繰り返してきたので、地形も変わっていて当然。

なお、手越河原の戦いでは新田義貞が勝ち、足利勢は鎌倉まで落ちて行ったもの。











さて、和歌の歌枕としては、手越は安倍川の西岸にあり昔は駅舎が置かれていたことから、旅にちなんだものが多い。




こぐ舟はとまもはらはでまかぢとる手越が崎を出る白浪 九条内大臣(続古今集)



旅人の手越河原をのる駒も足なみはやくいそぐ朝立ち 尭孝法印(覧富士記)



今ではこんな感じ


旧東海道沿い。現在の地名も手越。


こんなんもあった。




       

 






東海道の往来記を読んでたら、よく出てくる地名ですが
歌枕の地としては、ど〜もな〜って感じです。





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