すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


十符の菅(仙台市宮城野区)




それなりの歌枕であるが、十符のイメージが掴みにくいので、現在ではマイナーな存在である。


とりあえず説明板の内容を転記
「十符の菅」「十符の池跡」
 「十符の菅」は、中世以来「みちのくの 十符の菅薦 七符には 君を寝させて 三符に我が寝む」等と詠まれ、その菅は網目が十筋の菅薦の材料として使用される良質なものといわれ、陸奥の歌枕として知られていた。
 第四代藩主伊達綱村がこの地を訪れ、「十符の菅」の名所が荒廃しないよう菅守を設け保護し栽培することを家臣及び村中の者に命じた。
 元禄二年(一六八九)五月八日(新暦六月二十四日)には松尾芭蕉と曽良がこの地を訪れている。芭蕉が著した「おくの細道」には「かの画図にまかせてたどり行かば、おくの細道の山際に十符の菅有。今も年々十符の菅薦を調て国守に献ずと云り」があり、「十符の菅薦」が藩主に献上されていることが記されている。また、この文中に見える「おくの細道」が「奥のほそ道」の書名の由来となったともいわれている。
(岩切歴史探訪会)




う〜ん、現在では菅薦(スゲで編んだムシロ)と言われてもよく分からないし、その編目が十筋あるというのもイメージが湧かない。
「符」は編目のことで、「10の編目」が「十符」となって、特産品の菅薦の産地として「十符の菅」が歌枕の地となったもの。











四代藩主伊達綱村がこの地で栽培を継続させた「十符の菅」が、現在でも植え継がれているとの情報があり、訪問してきた。


「仙台市岩切市民センター」で保存されている。



その駐車場の片隅に「十符の菅」があった。
ただし1月に行ったので、菅は生えていなかった。
なんとも寂しいものがあった。



この周辺の写真

この辺りで「十符の菅」が生えていたり、



この辺りに「十符の池」があったとか









さて、「十符の里」は上記の仙台市宮城野区から隣の利府町にわたる地域のことであったようで、利府町も「十符の里」ゆかりの地となっている。




なんと、利府町の観光イメージキャラクターは
十符の里の妖精 リーフちゃん











(利府町観光協会のホームページから画像を拝借)






こんな十符の里は平安時代から多くの歌人たちに詠まれている。
「問う」とか「訪う」につながるようだ。


寝覚めする 十符の菅薦 冴えわびて 暁ふかく 千鳥鳴くなり 後鳥羽院御集

見し人も とふのうら風 おとせぬに つれなく澄める 秋の夜の月 橘為仲(新古今集)

みちのくの 十符の菅薦 七符には 君を寝させて 三符に我が寝む 夫木和歌抄

水鳥のつららの枕隙もなしむべ冴えけらし十符の菅菰 源経信(金葉集)

あやむしろ 緒になすまでに 恋わびぬ 下朽ちぬあらし 十符の菅薦 鎌倉右大臣(夫木和歌集)







地図は岩切市民センター





せっかくのことなので、菅が生える夏に行きたかったです。





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