すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


常盤(京都市右京区)




常盤って、どこなのか?
常盤山ってどの山?
源義経を産んだ常盤御前と関係あるのかな?


いかにも歌枕っぽい響きの「常盤」であるが、さて訪問しようとしたら、どこに行ったらいいのか分からない。


資料を漁ってみると結局のところ、「太秦の北」で、「双ヶ岡の西南」に広がる平地とのことで、地図を見てみると、現在では大方が開発されて市街地になっている。
京福電鉄に「常盤駅」があり、その近くに「京都市立常磐野小学校」がある。銀行郵便局の支店名も「常盤支店」であり、町名としては「常盤○○町」としてかなりの数が確認できる。

こんな中、いったいどこに行ったらいいのか!




結局、京福電鉄北野線の常盤駅に行った



10分間隔で運行しているようだ



常盤駅



最新鋭の2001系電車


常盤駅の写真を撮ってみたが、どうも満足感がない。
まあなんというか、歌枕の常盤とはあまり関係がない写真が撮れた。




とりあえず、常盤を詠んだ歌を紹介


もみぢせぬ常磐の山は吹く風の音にや秋を聞きわらるらん 紀淑望(古今和歌集)

常盤なるにかゝれる苔なれば 年の賜キきしるべと思ふ 新古今和歌集

春秋も知らぬときはの山里は住む人さへやおもがはりせぬ 在原元方(新古今和歌集)

紅葉せぬ常盤の山に立つ鹿はおのれ鳴きてや秋を知るらむ 大中臣能宣(王朝秀歌選)

秋くれば常盤の山風もうつるばかりに身にぞしみける 和泉式部(新古今和歌集)

思出づる常盤の山の岩つつじいはねばこそあれ恋しきものを 古今和歌集

ときは山しひの下柴かり捨てむかくれて思ふかひのなきかと 西行

秋来れど色も変わらぬ常盤山よその紅葉を風ぞかしける 古今和歌集

佐保姫の染めし緑や深からむ常盤の森はなほ紅葉せで 後鳥羽院集





『常盤』とは、常緑の木々が繁茂する様子のことで、秋になっても紅葉にならないことから、転じて永遠に変わらぬもののこと。歌枕の『常盤』はこのイメージで詠まれている。
ただし、もともとは源常(ときは)という公卿の別荘があったために、その後に地名として定着したもの。
「常盤」っていうのも名所っぽく表現しているだけで、実際は平地と低い丘陵地になって、いわゆる山はない。
そんな『常盤』を多くの歌人が同じようなテーマで詠んでいるところをみると、いったん歌枕として認知されると現実の姿とは離れて、歌枕の世界をみんなで作り上げてしまうのだろう。
これはこれで実に楽しい世界ではあるが。









さて、源義経のお母さんの常盤御前であるが、この常盤の地で生まれたから常盤御前と名前が付けられたとのこと。そして晩年もこの常盤界隈で暮らしていたとの説があり、常盤馬塚町の源光寺には供養塔があるらしい。


源光寺
なんとなく、入りにくい雰囲気だったので正面の写真だけ撮影
















よく分からない訪問になりました






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