すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


多武峰(とうのみね)(奈良県桜井市)





うちたをり多武の山霧しげみかも細川の瀬に波の騒げる 柿本人麻呂(万葉集)



細川が流れる飛鳥宮あたりは雨が降っていないのに、上流の多武峰で降った雨で川の水嵩が上がることを詠んだ歌。

飛鳥宮と多武峰は川を通してつながっていることが分かる。距離にして4〜5キロ程度か。

多武峰には有名な談山(たんざん)神社があり、中大兄皇子と中臣鎌足が蘇我入鹿暗殺を語らった場所とされている。

談山神社は、明治の廃仏毀釈までは神仏習合して寺と社が一体化し、藤原氏の祖先を祀っていた。








【談山神社へ訪問】

今回、新型コロナウイルスの強い感染力を持つ第六波の到来時期であったが、家にいても暇なので近場の万葉故地巡りを挙行、ずっと行きたかった多武峰、談山神社へ訪問してきた。

とは言え、談山神社と言えば春の桜と秋の紅葉の名所なので、真冬の訪問は味気ないと一瞬思ったものの、勢い込んで家を出たのでどうしようもない。


社頭、「別格官幣社談山神社」とある
桜も紅葉もなかったが、かえって古朴な趣があった




入ってすぐ、石段、かなり厳しかった
昔は山城を兼ねていたとのこと




こんなかんじ




石段を上がった所、楼門があった、重要文化財




拝殿
山の地形を利用したもので、すぐ下は崖になっている




拝殿からの眺め
眺望絶佳の地とされているが、真冬なのでこんなかんじ
桜も紅葉もないが、青く晴れ渡った空があった




拝殿の中




藤原鎌足公の掛け軸




摂社・東殿、重要文化財
恋神社と呼ばれている。本殿の背後へ回って参拝すると恋が成就するとか




鏡女王像があった、恋の成就と何か関係があるのかな




厄割り石
「厄落とし・開運・諸願成就」とのこと




十三重塔、重要文化財
神社にあるのは神仏習合の名残




春や秋のハイシーズンに来たら素晴らしいのだろう




末社、龍神社
パワースポットらしい




神廟拝所、重要文化財




神廟拝所の内部




壁面には羅漢と天女が描かれている




神廟拝所と十三重塔
季節の良い時期に再訪したい






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谷ふかく分いるたむの山ざくら かひあるはなのいろを見るかな 本居宣長(菅笠日記)
多武の桜をみようと谷ふかく分け入った それだけの甲斐あって見事だ
訳:諏訪邦夫














駐車場が、第一から第四駐車場と、大型車輌の駐車場
があるところを見ると、ハイシーズンは混雑するのだろう






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