すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


月出ヶ崎(つきでがさき)(岡山県笠岡市)








久方の月出が崎や君が代の豊のあかりを待つ名なるらん 藤原家経(大嘗会和歌集)
月出崎という名前は、大嘗祭を寿ぐ盛儀の宴をお待ちするという
意味からであろうか 「おかやまの和歌」(岡山県郷土文化財団)


おもしろき月出崎に行く人は(くもり)なき夜はうれしかるらん 藤原経衡(大嘗会和歌集)


はるばると(くもり)なき夜をうたふらし月出が崎のあまの釣舟 藤原清輔(新拾遺和歌集)




今回紹介する歌枕は、笠岡市の神島外浦の海岸で、海に突き出ている部分のこと。

もともと海岸から離れた沖合いに岩場があって、そこに向かって陸から砂州が伸びていって陸繋島みたいに繋がったのかなと想像する。

海に突き出た場所なので、「突き出(つきで)」から、同音の「月出(つきで)」になったようだ。

月が出るのは雲がない夜なので、「曇りなき夜」が導かれたというわけ。

なんと、海岸から突き出た地形的な特色のこの場所が、紆余曲折の末に月の名所となり、天皇の光り輝く御代を寿ぐ大嘗会歌枕の地となったもの。











【現地訪問】


「突き出た」部分を眺めることができる場所を探した。


「突き出た」部分は、ある工場の敷地の中にある
この写真の工場の建物の向こうにあたる



工場の建物が邪魔なので、山側の道を上った



木の枝の向こうに「突き出た」地形が見える



これこそ突き出た「月出ヶ崎」であろう



こんな場所










1960年代の航空写真

赤いマークの所から「月出ヶ崎」が見えた
経緯度は、
34.452988, 133.499814






夏は木々が繁茂して見ることができないでしょう






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