すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
机の島(石川県七尾市)
「万葉の里」(犬養孝著、和泉書院)に、万葉集ゆかりの地として能登の「机の島」が紹介されていた。 和倉温泉の北方二キロ、30坪ほどの無人島、全島松の木に覆われ、季節により花が咲く、とにかく静かな島らしい。 この机の島を取り巻いて、シタダミ貝がぎっしりと棲息し、秋は特に美味しいらしく、現在でも食用に供されていると。 そんなシタダミ貝の採集から料理の仕方までの過程を詠んだ歌が、万葉集に収録されている。 |
香島嶺の 机の島の しただみを い拾ひ持ち来て 石もち つつき破り 早川に 洗ひ濯ぎ 辛塩に こごと揉み高坏に盛り 机に立てて 母にあへつや 目豆児(めづこ)の刀自(とと) 父にあへつや 身女児の刀自 | 万葉集 |
おそらく古代のこの地方のわらべ唄とのこと。 近くの漁民の子供たちが、この島に来て、シタダミ貝を採って、ままごと遊びをしていたのだろうと著者は推測している。 初めて知った地名で、しかも変な地名であり、気になっていた。 北陸三県の旅、能登半島周遊の折に、熊木川の橋の上から机の島を撮影してきた。 ![]() 熊木川の河口から眺望。 正面に種ヶ島、その左にある小さな島が机の島。 ![]() 机の島の拡大写真。iPhone6で撮影。 ![]() 位置関係的には、左に机の島があり、右手に和倉温泉のホテル群が見える。 机の島には上記万葉歌の歌碑があるらしいが、船をチャーターでもしない限り、行くことは不可能。 |