すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


津野の岡(滋賀県高島市)







天仁元年 鳥羽院大嘗会悠紀方和歌

津野の岡南に薫る梅の花 君が御門に通ふなりけり 大江匡房(江帥集)




詞書に「津野岡梅花盛開」とあり、梅の花が咲き競っている状景が目に浮かぶ。

『和歌の歌枕地名大辞典』によると、「津野」は高島市今津町の辺りで、北仰(きとげ)に津野神社がある。そして「岡」は荒谷(あらたに)山の麓とのこと。

津野神社は、式内社で古代の豪族(つの)氏ゆかりの神社。

今回は津野神社から荒谷山の麓を眺望することを目論んだ。





津野神社から荒谷山(640メートル)は8キロメートルぐらいの距離。ただし間に標高546メートルの函館山があり、実際には荒谷山を見ることができない。

「荒谷山の麓」であるが、荒谷山は野坂山地の奥深い山中に位置するため、平野との隣接点である麓がない。

あえて津野神社から「荒谷山の麓」を求めるとすれば、函館山の麓になるのかな。









■ 現地訪問




津野神社・・・高島市今津町北仰316−1



津野神社の一の鳥居の傍らに「津野郷」の石碑があった。



拝殿
木造平屋建て、入母屋、正面千鳥破風、平入、桁行2間、張間2間、外壁は柱のみの吹き放し
文政7年(1824)造営



本殿
三間社入母屋造、銅板葺き、平入、正面1間向拝付き、外壁は真壁造板張り
嘉永7年(1854)造営



拝殿にとても立派な社伝が掲示されていた
内容は、「延喜式神社の調査(近江国津野神社)」のホームページを参照してください。



西側から津野神社を撮影
中世、角館(つののやかた)という城館があった



そして東向きに函館山が見える
函館山の麓には扇状地が形成されているが、この角度の写真では分からない



まさにこれが大嘗会和歌の歌枕、「津野の岡」









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若い頃、函館山にスキーに行きました





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