すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
蔦の細道(兵庫県明石市)
たしか伊勢物語の東下りで「宇津の山」を越える道があって、そこは『蔦、楓は茂り、もの心細い』ことから「蔦の細道」と呼ばれて、後世、その道は東海道の名所になっているのだが、、、 なんと兵庫県の明石市の一角にも「蔦の細道」があるという。 しかも、その由来の登場人物は源氏物語の光源氏だというので、伊勢物語の在原業平に負けていない。 天皇の怒りを買った光源氏は須磨で蟄居生活を送るが、須磨を襲った嵐のあと、明石の入道の本拠地、明石浦に迎えられる。 明石浦で過ごしていた光源氏は、入道の娘の明石の君のもとへ通うことになるのだが、明石の君の住む岡之館への通い道が「蔦の細道」とされている。 そして、次の光源氏の歌が伝わっている。 |
秋風に 波やこすらむ 夜もすがら あかしの浦の 月のあさがほ | 光源氏 |
いやはや、源氏物語は物語なので、そんな道があったはずがないのだが、江戸時代に源氏ファンである明石藩主の松平忠国が史跡として整備したようだ。 こんなかんじ ![]() これが「蔦の細道」!!! 蔦は生えていないが、たしかに道は細い! ![]() 「蔦の細道」に続く道。ここも光源氏が通ったはずだ。 ![]() 「蔦の細道」碑 ぜひ、蔦の木を植えてほしいものだ。 ![]() これは無量光寺で、光源氏が住んだ源氏屋敷の跡だと云われている。 ![]() 無量光寺の中。 光源氏は物語の中の登場人物なので、実際に住んでいたわけでないのだが、それを言ったらお終いだろう。 こんな感慨無量な史跡を作ってくれた明石藩主に感謝である。 |