すさまじきもの ~歌枕探訪~


栗花落の森(神戸市兵庫区)




「栗花落」と書いて「つゆ」と読む。
そしてここの町名は「都由乃町」で「つゆのちょう」。
梅雨の天候と何らかの関係があるらしい。





「栗花落の森」に関する物語がある。
簡潔に述べると、

①764年、丹生山田の住人、山田左衛門尉真勝は都へ出仕していたときに、左大臣藤原豊成の次女白瀧姫に恋をした。

➁真勝のまじめな性格を知っている淳仁天皇は、自ら二人の仲をとりもって結婚させた。

③真勝は白瀧姫を連れて、丹生山田へ戻る途中、現在の神戸市兵庫区にあった森で休憩をとった。

④その頃は梅雨時なのに日照り続きであった。水不足に困っていた村人たちの声を聞いて、白瀧姫が杖で地面を突くと清水が湧き出した。

⑤村人たちは大喜びし、白瀧姫を祀るようになった。





そんな白瀧姫の祠が残っている。

石井川の横に車を停めた。ここからは徒歩でないと入れない。
「都由乃町」の表示がある。



昔の路地裏のようなかんじ



これも



この路地裏を地元の人は車で通るようだ



なんとなく妙な雰囲気のスペースにたどり着いた



ここが、白瀧姫を祀っている祠



清水は湧いていなかった



史跡としてきちんと整備されていた



「栗花落の森」の名残として、エノキの木が残されていた









山田真勝が白瀧姫に求愛したときの歌の応答


真勝から白瀧姫に贈った歌
水無月の 稲葉の末もこかるるに 山田に落ちよ 白瀧の水 山田真勝
結婚して山田の村においでよ 


それに対し、白瀧姫からの返歌
雲たにも かからぬ峰の白瀧を さのみな恋ひそ 山田をの子よ 白瀧姫
わたしは雲の上のような身分です。あきらめてください。 



この歌のやり取りを聞いて、淳仁天皇は真勝のために二人の仲を取り持ったようだ。




なお、二人が目指した山田村は現在の神戸市北区にある。
そこでも二人の伝説が残っているようだ。
ちょっと遠いが一度行ってみたいと考えている。






(34.690392,135.162007)
車は入れないが、川沿いに駐車スペースあり。






「栗花落」は神戸では一般的な苗字らしいです。






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