すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


月ノ輪の渡し(福島県福島市)




「奥の細道」で松尾芭蕉の一行は、信夫のもぢ摺り石を見学後に「月ノ輪の渡し」を越えて佐藤庄司の旧跡に向かっている。


「新訂おくのほそ道(角川文庫)」の解説によると、月ノ輪の渡しは歌枕ではない。歌枕としての月輪は京都市東山区今熊野町にあるとのこと。

たしかに「月ノ輪の渡し」では芭蕉も曽良も何も発句していない。


ただ福島市にある月ノ輪山愛宕神社のホームページによると、阿武隈川のほとりにある月ノ輪山の頂上には芭蕉の句碑があるとのこと。

きさらぎや 月輪あたり梅の花 松尾芭蕉


けれども、そのホームページにおいて「芭蕉が月輪渡しを通ったのは五月のことなので、この句は京の月輪あたりでよんだのであろう。京の月輪山は梅の名所として知られていた」と解説し、この句と福島の月輪との関係を見事に否定している。


なお、日本全国に月輪の地名があり、そこは月見の名所が多いらしいが、この福島の月輪は、阿武隈川が氾濫により三日月湖がここに残されたことから「月輪」となったとの話がある。



現在では月ノ輪の渡しは廃止され、そこに「月の輪大橋」が架けられている。



一見したところ、どこにでもある普通の橋であるが、、、、



欄干に上記とは別の芭蕉の句碑があった。

早苗とる手もとや昔しのぶ 芭蕉



月の輪大橋から上流方向。阿武隈川と信夫山を望む。



こっちは下流方向。






今回の東北旅行のレンタカーは日産デイズ。
小回りが利き、燃費も良かった。











近くのローソンの裏手に「月の輪の渡し碑」があるとのことで、
探しまわりましたが、見つけることができませんでした。




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