すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


(うぐいす)が原(滋賀県米原市)






中山道、柏原宿の西側に広がる野原を「鶯が原」といった。

今回は「鶯が原」への訪問記。









時は4月下旬、野山は春めいてきて、生物が蠢動する季節。

茂みからヘビが出てきた。

春はヘビが出てくるので苦手である。





こちらは車に乗っていたが、下りることが出来ず、ことの推移を見守っていた。





ヘビのことは分からない。これはアオダイショウかシマヘビか、それともマムシなのか。
長さは1メートルぐらい、とにかく恐ろしい。

ところが、このあと数分でこのヘビに悲劇が襲うのであるが、それは後述する。





元弘の変で捕らえられて鎌倉へ送られる途上、ここ柏原宿で殺害された北畠具行の墓に行きたかったのだが・・・
「 ← 北畠具行卿墓」の標識があった。





写真の、門の右手の小径を200メートルくらい行ったところに墓があるのだが、ヘビが怖いのでやめた。



北畠具行の辞世


消えかかる露の命の果ては見つさてもあづまの末ぞゆかしき 北畠具行
消えかかっている露の如くはかない自分の命の最後はもうわかってしまった。
それにしても鎌倉幕府の末路を知って死にたかったものだ。(wikipedia)


逍遥生死 四十二年 山河一革 天地洞然 北畠具行













「鶯が原」は開墾されて広大な農地となっていた。


ヘビが怖いので、あまり茂みに近づけず。



ウグイスの鳴き声は聞こえてこなかった。



1480年、太田道灌が江戸から京都へ旅した際に「鶯が原」で歌を詠んでいる。


聞ままにかすみし春ぞしのばるる名さへなつかし鶯の原 太田道灌(平安紀行)


太田道灌も春にこの地を訪れたのだろう。
ウグイスという地名になにかインスピレーションを起こして作詠したのかな。










さて、先程のヘビの末路であるが、

ヘビはいったん茂みに戻ったので、当方も車から下りて写真を撮ったりしていた。

少し離れたところへ行って振り返ってみると、またもや先程のヘビが道路に出てきたのが見えた。

突如、向こうから車がやってきた。

そして直前にヘビに気付いて除けようとしたものの、ヘビの尻尾をタイヤで踏んでしまった。

尻尾なのでヘビは即死ではなく、道路上をのたうち回っていた。ものすごい痛そうであった。

すると、その状況を見ていたのか、どこからかカラスが数羽飛んできて、電信柱の上に止り、ヘビの様子を上から確認していた。

ヘビはのたうち回って、溝に落ちていって、そしてカラスがヘビを食べてしまった。


生者必滅と諸行無常が目の前で展開された。













春の野山は苦手です





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