すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


鴬の滝(岐阜県関ケ原町)




とりあえず立て札
 鴬の滝
中世(鎌倉・室町期)の山中村は旅人も泊まる宿駅として栄えていました。近世(江戸期)では、関ケ原・今須宿の間(あい)の村として、人足が駕籠や馬を止めて休息した立場や酒屋・餅菓子屋・果物屋・古手屋等が軒を連ね、活気を帯びていたのです。
ところで、この滝は、今須峠を上り下りする旅人の心を癒してくれる恰好な場所でした。滝の高さは約五メートル。水量は豊かで冷気立ち込め年中鴬の鳴く、平坦地の滝として、街道の名所になっていました。
関ケ原町






どんな所かというと、


これは旧東海道の橋の上から撮影
この先で滝になって落ちる



反対側から撮影
これでも約五メートルの落差があるらしい。



滝の全景。
滝の上には旧東海道の橋が架かる。
そのうしろの構築物は東海道新幹線が旧東海道を渡る橋梁。

新幹線はひっきりなしに通過していた。




こんな鴬の滝を詠んだ歌

夏来ては鳴く声を聞かぬ鴬の滝の水泡や流れ合ふらん 一条兼良(藤川の記)




滝ではないが、

里の名に聞く鴬がはな(かづら)秋はすくなし春かけて鳴け 覧富士記
鴬が鼻という里の名に聞く鴬よ、もう秋の日は少なく、小春も
近いので、春を待ちかねて鳴いておくれ」(日本古典文学全集) 


実際に現地に行った人でないと、詠むことのできない、言わば旅人の特権のような場所かな。
差し当たり、地元一流の歌枕の地と言ってよいだろう。










地元二流程度の名も無き歌枕の地が好きです。





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