すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


浮布の池(うきぬののいけ)(島根県大田市)







君がため浮沼の池の菱摘むと我が染めし袖濡れにけるかも 柿本人麻呂(万葉集)


浮布池展望所に歌碑




柿本人麻呂の万葉歌は、三瓶山の西麓にある浮布池で詠んだもの。
菱の実を採ろうとして池に入ったら着物の袖が濡れたという内容。
菱の実ってどんなものなのかな?







浮布池には伝説がある。
昔むかし、長者の娘の迩幣姫(にべひめ)が、大蛇が変身した美しい若者に誘われて、この池に身を投げた。その後に姫の着ていた衣が水面に白く浮んだという。
このことから浮布池の名となったもの。

そしてこの歌


身はかくてうきぬの池のあやめ草引く人もなきねこそつきせめ 藤原知家


そして迩幣姫の霊を祀るために池には迩幣姫神社が建てられた。


















浮布池は、三瓶山の西崖が崩れ落ち、土石によって堰き止められてできた池。

下の地図で三瓶山と浮布池の位置関係を示している。黄色い矢印の方向に山が崩れ落ちて谷筋を埋めたのだろう。

きれいな等高線が弧を描いているが、扇状地ではない。三瓶山の頂上付近から山崩れがあったようだ。











迩幣姫神社の鳥居、池の北岸にあった
迩幣姫神社は池の南岸にあるらしい
この日、台風が九州北部にあったので、水面は荒れていた



三瓶山と浮布池
残念、「逆さ三瓶」は見れなかった



浮布池展望所







斎藤茂吉はこの浮布池をこよなく愛したようだ。


三瓶山の野にこもりたるこのを 一たび見つつ二たびを見む 斎藤茂吉










天気の良い日に「逆さ三瓶」を見たいです










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