すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
宇奈比川(富山県氷見市)
もののふの 八十伴の男の 思ふどち 心遣らむと 馬並(な)めて うちくちぶりの 白波の 荒磯に寄する 渋谿の 崎た廻(もとほ)り 松田江の 長浜過ぎて 宇奈比川 清き瀬ごとに 鵜川立ち か行きかく行き 見つれども そこも飽かにと 布勢の海に 舟浮け据ゑて 沖辺漕ぎ 辺に漕ぎ見れば 渚には あぢ群騒き 島廻には 木末花咲き ここばくも 見のさやけきか 玉櫛笥 二上山に 延(は)ふ蔦の 行きは別れず あり通ひ いや年のはに 思ふどち かくし遊ばむ 今も見るごと | 田辺福麻呂(万葉集) |
長歌ながら、そこそこ有名なこの歌。 今回の訪問地は、この歌の中に登場する宇奈比川。 作者たちの一行が、宇奈比川の清らかな川瀬で鵜飼い遊びをした思い出が綴られている。 ただ、「そこも飽かに」と、残念ながら鵜飼の遊びも飽きられてしまい、一行は布勢の海に去ってしまったようだ。 う〜ん、長歌に出てくる地名にいちいち反応していたらキリがないのだが、「飽きられた鵜飼」に無常さを感じてしまい、今回の北陸の旅で訪問してきた。 宇奈比川、現在は宇波川 ![]() 国道160号線から上流方向を望む 鵜飼をして楽しんだのはこの辺りか、それとももう少し上流かな。 ![]() 国道160号線の橋 ![]() 国道の橋からすぐ下流が河口で、富山湾に注ぐ ![]() そしてここからは、出発点の渋谷の荒磯や中継点の松田江の長浜、そして宇奈比川の鵜飼いに飽きてから向かった布勢の海が眺望できる。 |