すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


牛窓(岡山県瀬戸内市)





牛窓は日本のエーゲ海と言われている。
エーゲ海がどんなところか分からないが、さぞかし風光明媚な景勝地なのだろう。
学生時代にサークルの合宿で牛窓のペンションに泊ったりしたが、当時からおしゃれなイメージがあった。
関西からも近い魅力的な観光地である。




さて、牛窓という地名の由来は、神功皇后の三韓征伐の帰路、牛窓の沖を通過するときに海中から巨大な牛が現れて船を襲ってきたが、住吉の大明神がこの牛の角をつかんで投げ飛ばしたことから、「牛転(うしまろ)び」が転じて牛窓になったという。




瀬戸内海の航路の主要な船の碇泊地であったことから、古来多くの歌が詠まれていて、文学史上著名な歌枕となっている。




有名な万葉歌


牛窓の波の潮騒島響み 寄そりし君は逢はずかもあらむ 万葉集
牛窓の潮鳴りが島中に響くように、噂高く私との仲を言い立てられたあの方は、
ずっと逢えもしないでいることであろうか(歌人が巡る中国の歌枕)
 


牛窓神社の入り口の鳥居横に歌碑







その他いろいろ


わすれぬは浪路の月に愁へては身をうしまどにとまる舟人 藤原定家(拾遺愚草)


上り船東風吹く風を過すとて よを牛窓に泊まりてぞ経る 曽禰好忠


人知れぬ身のみ思へば牛窓に 引き干す網のいはで過ぎぬる 夫木和歌抄


船に寝て何をたのまむ月にさへ なほ牛窓の泊なりせば 細川幽斎



え〜と、「憂し」と「牛窓」を掛けている歌が多い。
「憂し」という、使い勝手のよい歌枕であったようだ。









【現地訪問】


牛窓神社
古来有名な神社らしいが、鳥居から石段がずっと続いているのを見て、参詣を断念。
鳥居の傍に万葉歌碑があったので、その写真だけで満足した。



逆方向から
万葉歌碑があって、鳥居があって、海水浴場がある。



日の出直後。
釣り人は何を狙って釣っているのだろうか。訪問したのは6月下旬。キスかな?
右手に見える島は前島。



前島
この前島との間の水道が、船の碇泊地になっていたようだ。
昔は唐琴の迫門(せと)とも呼ばれていた。
実に穏やかな海である。



前島との間の連絡船



牛窓の漁港と右手の前島






上述の通り古来から牛窓は船の碇泊地として栄えてきたらしく、港町には昔の繁栄した時代の雰囲気が残っている。


こんな洋館があったり、



町中の様子がこんな感じであったり、



町並が保存されて、観光地になっている。

















牛窓の町を見学しようと計画をしていましたが、
なんとなく、そのまま通り過ぎました。






copyright(C)2012 すさまじきもの〜「歌枕」ゆかりの地☆探訪〜 all rights reserved.