すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


牛滝山(大阪府岸和田市)




岸和田市の紅葉の名所として有名な牛滝山。
牛滝山にある大威徳寺は修験道の行者の役小角が開いた古刹。
岸和田の市内であるが、和泉山地の麓にあるため、車でも相当な時間がかかる。
とは言え、苔むした石段と、三段の見事な滝と、鮮やかな朱色の多宝塔とともに眺める紅葉は素晴らしい光景であり、ぜひともシーズン中に行きたい紅葉スポットである。









【和泉名所図会】(早稲田大学図書館)


紅葉狩の様子が描かれている

此山の丹楓(もみじ)は、高雄通天にも劣ずして、谷の低きも峯の高きも、紅ならざるはなし。其くれなゐの中より、三ッの瀧、だんだんにおちて、牛石さしはさみて水の音つよく、霜に染めたる紅葉、此牛の背に散かさなりて、錦の褥を着せたるが如し。あるは溪の早き瀬に流ながれ、あるは巖の肩に舞止まるもあり。散かたには、坊舎の書院厨まて、みな、紅にて、人の顔も赤き面を被きたるが如し。楚岸、呉江もこれにはまさらじとぞおもふなるべし。




「牛滝山 大威徳寺 坊中」



「牛滝 本堂」

手前下に牛滝川と滝が描かれている。




この紅葉は昔から詩人墨客の詠懐をほしいままにしていたようで、多くの歌が残されている。


暮ぬとてさても覚へす紅葉はの下てる山の入相のかね 普照院宮元遥法親王(和泉名所図会)
山高みうつるもみちにものよりもはことなるついはなみ 風早公長(和泉名所図会)
行て見てもみちを分るもあらはなにうし瀧の山遠くとも 武者小路実陰(和泉名所図会)
をとにのみさこそときくはうし瀧の山の紅葉ばいつか分見ん 烏丸光栄(和泉名所図会)
今もたれ車をとめて牛瀧もみちのはやしにめつらん 冷泉為久(和泉名所図会)
染かけてをるやもたてぬきに紅葉しからむ瀧のしらいと 武者小路公野(和泉名所図会)
つてにのみきゝてやまむもうし瀧の山は都のよその紅葉 高橋季重(和泉名所図会)
からにしき風の行手に織かけて紅葉をぬきの瀧のしら糸 義胤僧都(和泉名所図会)
時雨せし山路のそての名残かな霜にかれせぬ霜の言の葉 林丘寺宮元秀法親王(和泉名所図会)
よそにしてまた見ぬもうし瀧名にこそたてれ山の紅葉ゝ 惠通僧都(和泉名所図会)



う〜ん、昔から牛滝山は「秋」「紅葉」「錦」「滝」「しら糸」「波」のイメージだったのだろう。







牛滝山、家族ハイキング写真


















子供が小さいときの写真













実は、家から車で20分ぐらいのところです






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