すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
しまった〜! 東北旅行を終えて帰って来てから、もう一度資料を読み直したところ、訪問予定地を二か所スルーしていたのが発覚。 それは福島県白河市の「鹿島」と「桜岡」。 ほんのすぐ近くの「転寝の森」に行っていながら、車で走れば2分程度のところを逃してしまった。 「鹿島」については、曽良日記にも 「うたゝねのの森、白河の近所、鹿嶋の社の近所」 と三つの史跡は近所であることを記しているではないか。 まあ今さら悔やんでも仕方がない。 「転寝」と書いて「うたたね」と読む。 「うたたねの森」ってなかなかいいネーミングやんかと思ったところ、資料には「源義家が陸奥に下った際、林の下でしばらく休み、うたたねをしたことからこの名前がついたと伝えられる」(白河風土記/白河観光物産協会)とある。 昔は森か林だったらしいが、江戸時代には杉が二本と桜の若木が二株だけになっていたとされる。 【転寝の森の現在の様子】 ![]() 素晴らしい写真だと思うが、いかんせん冬の木は葉の茂りがないので寂しい。しかしいったい何の木だろうか。杉でも桜でもなさそうだが。 ここは夏の盛りに来たらいいのだろう。これだけの大きさの木であれば、木陰でうたた寝をしたくなりそうだ。 ![]() こんな木。葉が繁茂したら立派な木陰になりそうだ。 こんな転寝の森を詠んだ歌 |
散る花を ただひと時の 夢と見て 風に驚く 転寝の森 | 道興准后(廻国雑記) |
道興准后が諸国巡歴の旅に出たのは室町時代のこと。 その頃はまだ森か林だったようで、 長閑な歌を詠んでいる。 その後に奥の細道の頃に、曽良日記に「今は木一二本有」と記され、 終にこんな歌が詠まれてしまった |
いにしへの もの見の杉も 跡たえて 名のみぞのこる うたたねの森 | 阿部正方 |
阿部正方は備中福山藩の藩主。江戸時代の後期の人。 江戸時代後期には残っていた杉も枯れてしまい、名前だけが残っているとのこと。 現在の状況は上記写真のとおり。 |