すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


和田(神戸市兵庫区)




平清盛の日宋貿易で栄えた和田の岬。
天然の良港だったので、なにかと歴史の舞台に登場するが、和歌の世界ではそれほど詠まれていない。
(当方が探しきれていないのかも知れないが)

万葉集に一首採り上げられている。


浜清み 浦うるはしみ 神代より千舟の泊つる大輪田の浜 田辺福麿(万葉集)


万葉の時代から、無数の舟が和田の浦に投錨していた様子は想像しただけで圧巻だ。











摂津名所図会では次のように紹介されている。(早稲田大学図書館)

「当津の勝地なり。和田の祠(ほこら)より辰巳の方、八町ばかり海面へ続き出づる洲崎なり。浜松数千株ありて、颯々の声、浪の音に清らかなり。
ことに中秋の月の名所にして、海上晴れわたりて、万里も一目に遮りて、銀色三千界のけしきあり。騒人墨客ここに来たりて三五夜を賞すべき名勝なり。
およそ畿内において、また双ぶる所なし。」

風景が素晴らしいことが強調されている。
その後、舟の航海能力が発達したのか、難波の港が整備されたのか、和田岬に停泊する船は減っていたようだ。











和田と言えば、「和田の笠松」が有名である。

昔は和田の湊に入港する舟の目印にもなっていたという「和田の笠松」。枯れても植え継がれてきたが、現在ではどこにでもある平凡な松の木が植えられていた。


これが「和田の笠松」



この絵を見ると、昔はすごかったようだ。



和田の笠松の史跡は須佐野公園にある。

※ 和田の笠松を詠んだ歌


秋風の吹き来る峰の村雨にさして宿かる和田の笠松 藤原為家


須佐野公園(神戸市兵庫区松原通1丁目)に歌碑











和田岬や和田浦の面影が残る風景を探したが、一帯が工業地帯になっていて思うような風景に出会わなかった。

そんな中、和田岬にある和田神社へ行ってみた。


和田神社(神戸市兵庫区和田宮通3丁目2-51)

昔から地元では有名な神社であるようだが、古典とか和歌にはあまり関係がなさそうだ。











この辺りは平家物語の聖地なので、ゆっくりと回ってみたいです。








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