すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
二葉なる若松の杜年を経て神さびんまで君はましませ | 江師集 |
すべらぎの末さかゆべき印には木高くぞなる若松のもり | 宮内卿永範 |
冬でも葉を落とさない常緑樹の松は「不老長寿」の象徴とされるが、わけても幼い松(若松)は特に縁起が良いとされる。 往昔、近江国蒲生郡の馬見岡綿向神社には「若松の森」という社叢があり、大嘗会和歌の歌枕として詠進された記録が残る。 現在では住宅地として伐採されて、神社の参道に「若松の森跡」の史跡が整備されている。 え〜と、松の木も時間とともに成長するので、松が若木から育ち始めた時期は「若松の森」だったとしても、数年したら普通の松林になっているはずで、名前だけ時間が止まっていることになる。 地名の成り立ちを考えることができるケーススタディである。 ■ 現地へ行ってきました ![]() 馬見岡綿向神社 (滋賀県蒲生郡日野町村井711) ![]() その参道に若松の森の跡地が史跡として整備されている ![]() 森は住宅地に変わったとのこと ![]() この辺りに森が広がっていたのだろう 大嘗会和歌以外の歌 |
聞くにさへ涼しくなりぬ若松のもりの梢の風のしらべは | 源顕仲(永久四年百首) |