すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


若松の森(滋賀県日野町)






堀川院 悠紀方 寛治二年 風俗歌
二葉なる若松の杜年を経て神さびんまで君はましませ 江師集



院の御時の久寿二年(1155年)大嘗会悠紀方の風俗歌近江国若松の杜を詠める
すべらぎの末さかゆべき印には木高くぞなる若松のもり 宮内卿永範



冬でも葉を落とさない常緑樹の松は「不老長寿」の象徴とされるが、わけても幼い松(若松)は特に縁起が良いとされる。

往昔、近江国蒲生郡の馬見岡綿向神社には「若松の森」という社叢があり、大嘗会和歌の歌枕として詠進された記録が残る。

現在では住宅地として伐採されて、神社の参道に「若松の森跡」の史跡が整備されている。


え〜と、松の木も時間とともに成長するので、松が若木から育ち始めた時期は「若松の森」だったとしても、数年したら普通の松林になっているはずで、名前だけ時間が止まっていることになる。

地名の成り立ちを考えることができるケーススタディである。







■ 現地へ行ってきました



馬見岡綿向神社 (滋賀県蒲生郡日野町村井711)
天穂日命(あめのほひのみこと)を主祭神とする、立身出世と開運招福に霊験あらたかな神社とのこと




その参道に若松の森の跡地が史跡として整備されている




森は住宅地に変わったとのこと




この辺りに森が広がっていたのだろう








大嘗会和歌以外の歌


聞くにさへ涼しくなりぬ若松のもりの梢の風のしらべは 源顕仲(永久四年百首)












滞在時間は3分ぐらいでした






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