すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


八重垣神社(島根県松江市)






八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を 須佐之男命



高天原から出雲の国に降り立った須佐之男命は、老夫婦と娘の櫛名田比売が泣いているところに出くわした。事情を聞くと、八岐大蛇が毎年やってきて老夫婦の娘を一人ずつ生贄とし、最後に残ったのが櫛名田比売で、今年もそろそろ八岐大蛇がやってくる時期だという。

と、よく見ると、櫛名田比売はとても美しかったので、須佐之男命は櫛名田比売と結婚することを条件に、八岐大蛇を退治することにした。

機知を持って八岐大蛇を退治した後に二人は結婚し、八重垣宮で暮らすことになった。妻を娶った喜びを詠んだのが冒頭の歌。なんと日本で最初に作られた和歌とのこと。


そんな伝説上の場所であるが、現在出雲市に八重垣神社として神話ファンや縁結びを願う人たちの崇敬を集めている。




【現地訪問】八重垣神社・・・島根県松江市佐草町227


正門は県道に面している。鳥居の奥に随神門



拝殿



「八雲立つ〜」の歌碑があった





八重垣神社のシンボルは椿らしい。
それも二本の木が一本となって成長した夫婦椿と呼ばれるもので、夫婦の契りを象徴している。
境内に3本の夫婦椿がある。



夫婦椿「連理玉椿」



夫婦椿「乙女椿」



夫婦椿「子宝椿」




いやはや、まさに良縁を願う人々にとって聖地である。







「八雲立つ〜」の歌の派生歌を紹介


世にこえて猶ぞさかえんことの葉を神のさだめし出雲八重垣 正徹

そのままに神代もとほくへだたりて跡やふりぬる出雲八重垣 宗良親王

しきしまや大和言の葉たづぬれば神の御代よりいづも八重垣 藤原良経

八雲立つ出雲八重垣けふまでも昔の跡は隔てざりけり 藤原良経

八雲立つ出雲八重垣かきつけて昔語りを見るぞ畏き 後嵯峨院(新後拾遺和歌集)

和歌の跡とふや出雲の八重 松尾芭蕉
















境内にはいろいろな歌碑や句碑があったらしいのですが
見過ごしました。






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