すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
権僧正公朝 |
東海道の草津・大津の間を陸路ではなく、舟で渡れば距離も短いために早く到着する。 ただし冬の比良おろしの強風が吹けば、大津へ向かう舟はもろに逆風になるので、進まない。 「 比良山に雲がかかってきたので、途中からでも早く引き返せという意味(かな)。 この場合、旅人は急ぐので舟に乗ったものの、逆に陸路よりも時間を要すことになる。 「急がば回れ」の語源となったとされるもの。 この歌は権僧正公朝の作詠。公朝は鎌倉時代の僧侶で歌人。勅撰和歌集に多く入集されている。 つまりこの歌は鎌倉時代に詠まれたもの。 え〜と、今回訪問したのは、山田湊跡。 江戸時代に地元の富豪が山田湊を開削し、大津までの湖上交通を就航させたが、昭和43年にモータリゼーションの影響で廃止となったもの。 昭和43年とは、ちょっと前のこと。 つまり、歌が詠まれた鎌倉時代の山田舟の港と、私が訪問した山田湊跡は別物ということのようだ。 「和歌の歌枕地名大辞典」にも『草津川の河口部辺りが「山田湊」であったと思われる』の記述があった。 まあ、草津川の河口部は埋立てのため大きく琵琶湖へ前進しているし、2002年には新草津川に付替えが行われ流路も大きく変化しているので、鎌倉時代の河口がいったいどこなのか、県外の一般人である私には分からない。 ■ 昭和43年まで山田舟の港だった「山田湊跡」 ![]() ![]() ![]() |